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今回は、作者の体験が反って作品を損ねる場合のこと
を解説いたします。
以前の記事で、
プロとアマの違いは、大切なこととどうでもいいこととの
重点の違いだと申し上げました。
すなわち、アマチュアの作者は、どうでもいいことまでも
細部にこだわり、リアルに仕上げようとします。
しかし、プロは、どうでもいいことはひと言で済ませ、重要
なことのみを詳しく書き込みます。
そしてアマは、重要な部分に場面を割くことをしないで、風
聞や説明書きにしてしまうのです。
誰にでもあてはまることなのですが、自身が体験したこと
は詳しく知っていますから、詳しく書こうとしてしまいます。
たとえば、何か事件を目撃して110番通報するとき、警察
との電話のやり取りをリアルに書いてしまいます。
でも、大切なのは、警察に通報することであって、警察と
のやりとりの中身ではありません。そんな無駄な会話文
を続けるよりも、記述を早く事件現場に戻してください。
とくに、電話による会話に無駄が多いですね。
もしもし、から始めなくても、重要な内容から始めるだけで
も、読者には意味が充分に伝わります。
電話による会話は長くなりがちで、緊迫感も薄れてしまい
やすいので、会話で重要な部分以外は、簡略な説明文に
してしまいましょう。