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今回は、視点にまつわる解説です。
小説の書き方を最初に習うとき、ほとんどの先生は主人公
視点のみの一人称を奨励しています。
しかし、子竜のところでは多視点の三人称を書くよう勧めて
いるのですが、それには理由があるのです。
ほとんどの場面で複数の人物が登場するだろうと思います
が、場面を主人公以外の視点で考えてみたり書いてみたり
しますと、新たな発見があります。
たとえば、息子が一流大学を出てくれて一流企業へ就職し
てくれたなら嬉しいと思っている主人公の視点だけではなく
て、息子の視点でも描いてみるのです。
すると、ミュージシャンを目指したい息子との意見の違いが
明確となりまして、家族間の葛藤を描きやすくなるのです。
おそらく、一人の視点でだけしか考えてはおられないだろう
と思いますし、一人称で書きたいからという理由で、考えて
みたことすらないのでは?
物語に深みを出すには、たとえ一人称の作品であったとして
も、三人称を書くための考え方が必要なのです。
もしもご自分の作品に何かが物足りないと感じておられるの
でしたら、場面場面に存在する主人公以外の視点でも描い
てみましょう。
その結果として、三人称小説へと変化しても、それはそれで
いいのです。