魅力ある悪人の描き方 | 小説の書き方教えます

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今回は、物語華を添える魅力的な悪人の描き方につ

いてお伝えします。




真面目で勤勉で忠誠心が高くて浮気もせずに嘘もつ

かない。


こんな人物ばかりが登場する作品って、読みたいと思

いますか。


たとえエンタメではなく純文学のジャンルだったとしても、

そういう人間しかいない世界というのは、あまりにも虚

構すぎて違和感を覚えてしまいます。


人間ですから、なんらかの欲望はみんな持っています。

社内での出世を望んでいたり、金儲け話には目の色を

変えるとか、ね。




そういう人が登場しますと、物語が俄然面白くなるので

すが、うまく描くにはコツが必要です。


コツといっても、大したものではありませんし、悪人とは

いっても、悪の部分が他人よりもいささか強いだけです。


が、本物の悪人を主人公にしてみると、コツなんてすぐ

に掴めるのです。




たとえば、強盗で生計を立てている男がいるとしましょう。


会社が倒産して住宅ローンが払えなくなり、アパートへ

引っ越したものの、奥さんに逃げられてしまった男です。


定年間近な年齢のために、職安へ行っても再就職すら

できない。強盗しか手段が残っていないのです。


ある日強盗に成功して車で逃げているとき、急に飛び出

してきた子猫のために急ブレーキを踏みます。


子猫の部場を確認すると、「よかったな、轢かれなくて」

と子猫を抱きかかえて言うのです。


あるいは、無事に自宅まで逃げ帰ると、90歳になる寝た

きりの父親の介護をする、なんてね。




つまり、悪の部分は強いとしても、人間らしい優しさも共

に持ち合わせている人物が魅力的なのです。


「今日の夕食は俺が作ってやるから、たまにはのんびり

とテレビでも見ていろ」


毎日のようにハードボイルドな夫からドメスティックバイ

オレンスを受けている妻は、この一事をもって、夫は本当

はやさしい人なんです、と他人には言うでしょう。


それが魅力で、離婚を本気で考えることもないわけです。




もうコツはおわかりですよね。


たくさんの悪の中に、ひと握りの善。


こういう人物を登場させてみてください。できれば、主人公

がいいですね。