理想の人物は描くな | 小説の書き方教えます

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今回は、人物設定にまつわる解説です。




小説とは人間を描く物語である以上は、人物設定

がもっとも重要な作業となります。


しかし、派手なイベントを含むストーリーを真っ先に

考えてしまう癖が抜けませんと、読者が誰にも共感

を覚えないままに読み終えてしまいます。


ことに短編ですと、読み終えるのが早い分だけ難し

い。長編よりも短編のほうが難しい所以ですね。




ただし、人物設定をするときに、作者が理想とする

人物像を当てはめてはいけません。


完璧に近い人物像ほど読者からの共感が呼べな

いからでして、どこかに人間臭い欠点がありません

と、やはり共感されません。


ポイントは、人間臭さなのです。




パニック映画を観る人ならわかると思うのですが、

巨大隕石が地球に衝突する寸前に、天才的な科学

者が地球を救います。


でも、そんな科学者でも妻から愛想をつかされてい

たり、娘から軽蔑されたりしています。


普段は研究以外に何も取り得のない人物ですね。


研究熱心なあまり、妻や娘の誕生日も忘れてしまう

人物なのですが、反面、地球の危機には凄いリーダ

ーシップを発揮します。




アマチュア作家がよく陥る間違いは、特異稀なイベン

トによって、人物を理想に近付けてしまうところです。


素晴らしい師匠に出会ったり、山篭りで開眼したり、

ですね。人物の欠点を、反対になくそうとします。


長所だけさらに伸ばすのならいいのですが、欠点ま

で克服させてしまうから、その後の人物に面白味を

感じなくなってしまいます。




人物設定なんかしたことないよ、という作者は論外

ですが、しているつもりになっているのも問題です。


作品の中には登場せずとも、親や兄弟や親戚は大

概いるのですから、そういう人たちとのかかわりで

形成されてきた人格には微妙な味があります。


友人もそうですね。


たとえば、


人物が兄弟の中で何番目の子なのか。


頭だったら、お兄ちゃんなんだからお姉ちゃんなん

だから、と親からいつも我慢を強いられますよね。

頭だという誇りも同時に育ってゆきます。


末っ子ですと、いつまでも甘える癖が抜けないか

もしれません。




このように、作品の中には登場しなくとも、人物の

人格に影響を与えているものは数多くあります。


転職経験、失恋経験、性体験の有無、信仰心、

受験の失敗、借金の額などなど、他にもたくさんあ

るでしょう。


優れた作品ほど、こういう面が言外に匂っています。

行間に漂っているものなのです。


人物設定が詳細になされているからなのですね。




理想の人物に話を戻しますが、


そういう人物は、主人公のライバルとして登場させ

ますと、物語が俄然面白くなります。


恋愛小説で男性主人公のライバルが、イケメンで

金持ちの息子であり高学歴。おまけに性格も優しい

とすると、どうやって意中の彼女と恋仲になるのか、

読者はワクワクハラハラさせられます。


今書いている作品を見直しましょう。