成り立たないストーリー 2 | 小説の書き方教えます

小説の書き方教えます

現役プロの小説家「子竜 螢」が、文学賞受賞へと導きます  KEI SHIRYU 

※お待たせしました。タイトル下の5つのコンテンツが

ご利用いただけるようになりました。


※添削をご希望の方は、必ず「添削希望の方へ

お読みになった上で、お申し込みください。


今回は、前回の続きで、成り立たないストーリーに

至る理由についてです。




主人公をどうしても孤児にする必要があるとします。


その場合、主人公の親をどうするか、という選択肢

にはいろいろありますね。


病死、自殺、捨て子、などなど、その中で一番もっとも

らしいものを選ぶのですが、そこに思わぬ落とし穴が

あることに気づいてください。


落とし穴というのは、あくまでも作者の都合だという

ことです。ストーリーを成就させるためとはいえ、登場

人物の運命を歪めることに気づかなくてはなりません。


つまり、作者のご都合主義は、読者に作品への違和感

を抱かせるのです。


作品のどこかに必ず歪が出現します。一般人が絶対に

入れない場所へ入ってしまうとか、ある一定期間、重大

なことを忘れさせたりしてしまうのです。


そうしないとストーリーが成り立たなくなるので、作者は

さも当然のようにやってしまうのですね。




以前にも書きましたが、最初にストーリーありき、の執筆

をするからそうなってしまうのであって、こういう主人公を

描きたいからふさわしいストーリーを考える、でなくては

ならないのです。


ある日突然に両親が事故で亡くなる。


現実にはあり得ることですが、小説の読者にとっては、

不可抗力の偶発は作品への興味を削いでしまいます。


あなたも別の面では読者でしょうから、わかると思います。


たとえ不可抗力の偶発を用いたとしても、描きたい主人公

がストーリーよりも先に設定されているなら、違和感も歪み

も生じません。




何度も申しますけれど、文学賞への応募作品の大半は、

違和感と歪みだらけです。8割までがそうでしょう。


これを解消するだけで、一次選考は軽く突破できます。


何度も落選している人は、とくに設定の順序を変えてみ

てください。ご自分でもびっくりするほどの作品に仕上がり

ますよ。