生まれて初めて大坂城を訪ねたのは小学生の時でした。夏休みに父が連れて来てくれたのは彦根城、二条城、姫路城と大阪城。どういう順番で回ったのかは忘れましたが、大阪城にはたしか森ノ宮駅で下車して行ったのだと記憶しています。勇んでお城に向かう途中で、筆者はどうしたきっかけだったか、カメラを落としてしまいました。「がしゃん」というガラスの割れるような音がして、そのカメラは二度とシャッターが下りなくなってしまいました。あまりのショックで、筆者はその時落としたカメラの種別を明瞭に記憶しています(笑)。オリンパスペンEE2。にわかに不機嫌になった父が森ノ宮駅前まで引き返し、最寄りのカメラ店でやおら買い込んだのが、オリンパスペンEE3。24枚撮りのフィルムで48枚撮れる優れもの(ハーフカメラ)で、結果として我が家の普段使いカメラは1世代新しくなりました・・・って、いやそれめでたい話ではなく、クレジットカードもATMも普及していなかった時代に無用の現金支出を強いられた父の気持ちは、父の年齢を超えた今ならば実によくわかります。怒りっぽい父が怒りたいのをぐっとこらえて黙ってカメラを買いに行ってくれたのも、全ては遠い昔の思い出となりました。

 


大坂城は大阪の真ん中にあるわけですが、大きすぎるのでどんな最寄りの駅からでも天守に辿り着くまでには20分以上は歩きます。しかも意外なくらいに標高差があるので、平たいお城だと思って行くと天守に辿り着く前にへとへとになります。頭では「上町台地の上に立っている」ことがわかっていても、大阪のど真ん中に「山」があるとはイメージしにくいせいか、毎度その高さに「ひー」となります。また、城域が広いので、特に現存櫓のひとつである乾櫓を実際に見ようとすると相当歩くことになります。

 

 

なのでついにというか、やっとというか、ちゃんと時間をかけて大坂城を歩き回ることにしてみました。
歩いてみると、やっぱり大坂城って大きいですね。まだまだ主要城域の半分も回れていないのではないかと思いますが、それでも十分へとへとになりました。日本三大名城の数え方にはいろいろあって、姫路城、熊本城は当確として三城目を大坂城とするか名古屋城とするかあるいは別のお城とするかでいろいろ議論があるのですが、個人的には大坂城でよいような気がします。

 

 

ちなみにいつぞやのテレビ番組アンケートで「難攻不落の城」ランキングを問われた際にも、筆者は迷いなく大坂城を第一位に推薦しています。かのランキング選考の際には「いやだって大坂城は落城してるし」という声も聞きましたが、落城した大坂城は地下に眠る豊臣大坂城で、徳川によって一回り大きくなった今の姿の大坂城は一度も落城したことはありませんから(まあ一度も戦ってないという言い方もできますがw)。