若栗城から北北東方向に1km弱離れたところに、長安寺と善念寺というふたつのお寺が建っています。それぞれが戦国時代の城館と伝わり、特に長安寺には山門脇から南側に沿って土塁が残されており、なるほど城館だったんだろうなあという趣があります。庭田某という武将がいて、入善城と連携していたらしいという話が黒部市のホームページで紹介されていますので、恐らく地誌類か何かにそういった話が載せられているのでしょう。

 

 

長安寺の山門がまたいい感じの門でした。大きくないのがいいんでしょうね。茅葺の屋根が素朴な感を漂わせていました。この山門と、山門に付設する土塁とがワンセットになって黒部市の文化財指定を受けています。史跡じゃなくて、建造物としての指定です。土塁を建造物の付設物として文化財指定しているのって、個人的には初めて見つけました。「お城総覧」を作る過程では、史跡指定を受けているお城は可能な限り調べているのですが、建造物の文化財指定は移築建造物が多いこともあって後手に回っているのが実情です。新しい視点でちゃんと調べ直した方がよいですかねえ・・・。まだ全国の半分くらいしか総覧も作ってない(というかここ数年作っていない)中で、以前作った地域でもまだまだ記載すべきお城が続々登場してしまっているのですが(笑)。まあゆっくりやりましょう。
長安寺館と善念寺館は、それぞれ若栗城と地下で繋がっていたという説があるそうです。低湿地だったと思われるこの場所で地下構造物が作れたとは到底思えないので、もしかしたらそんな低湿地の中を相互に繋ぐ道のようなものを新設したのが、いつの間にか「地下で繋がっている」という話になったのかもしれないですね。