こんにちは。
今回のブログは、思考力クラス担当講師の藤田和彦がお届けいたします。


今年度の「思考力ブログ」の2つ目は、
幼稚園での「思考力」の時間と、「テキスト学習」のもうひとつの「異なっている点」について書いていきます。



テキスト学習と、「思考力」の時間が異なる点の、もうひとつは、
 
「小学校受験」で問われる課題の形式でのお勉強を、年長の12月まで進めていく、という点です。
 
 
思考力クラスは、
文字や数字、計算についてあつかう
いわゆる「先取り学習」ではない、ということになります。
 
文字の読み書きや計算など、いわゆる「国語」「算数」の学習にはいる代わりに、
「ことば」や「数のやりとり」に関連する「表現」や「考え方」を学習します。
 
 
これは、「かき」「けいさん」のテキスト学習の理解を補完するものでもあり、
また、テキスト学習が、基本の読み書き・計算を担ってくれているからこそ、できる学習でもあります。
 

思考力クラスでも、年長クラスの3学期は「就学準備学習」と銘打ち、
ひらがな、カタカナの読み書き、そして1位数のたし算、ひき算と文章題についての学習をおこないます。

年長さんの全体学習としては、むやみに先取り学習を進める必要まではないと考えていますが、
反面、基本の読み書きとたし算、ひき算を概念とセットで理解することは、小学校入学前までに目指したいところでもあると考えています。
(もちろん、飛び抜けた能力のあるお子さまが、自発的に進めるものであれば、先取り学習を制限する必要はありません。どんどん進めていけると良いと思います。)
 
 
 
さて、「先取り学習」について先に触れていきましたが、
むしろ「小学校受験」という点について気になった、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 
「わが家は小学校受験をしないから、思考力クラスでやることは、あまり関係のないことなのかなぁ。」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。
 
この疑問に対して、もう少し説明させてください。
 
 
 
実は、私が初めて幼児教育、そして小学校受験指導に関わるようになった時の感想が、
「これは、『受験』うんぬんを抜きにして就学前にやっておく価値のある学びだな」
ということでした。
 
 
ちなみに私自身は、出身地が岐阜県だったということもあり、小・中ともに地元の公立学校を卒業しています。
 
当然、「小学校受験」については経験していませんでした。
また、当時かよっていた幼稚園も、教育に特色がある幼稚園だった、というわけではありませんでした。

そんな私が、
小学校、中学校と進学するうえで、学業においてストレスフリーな学生時代を過ごせた(と感じている)のは、
 
小学校に入る前から取り組んできた、自宅での「お勉強」だった、ということを、自身が小学生だった当時から、はっきりと認識していました。
 
 
「同じように、お勉強で困らない状況をたくさんのご家庭で作っていきたい」
というのは、私が学習指導に携わり続けている大きな理由のひとつでもあります。
 
 
そんな私が、はじめて「小学校受験」の指導に触れたときの感想が、
 
「こういうお勉強、やったなぁ。」
であり、
 
次いで、
「やっぱり、こういうことを幼少期から取り組んでおくのって、いいよね。」
でした。
 
 
「小学校受験」は、
中学以降の受験と異なり、「学力以外の要素も求められる」といった受け取られ方もする部分もあります。
 
また、時に「合格」という結果への執着が、
心身ともに未発達な幼児に対する過激な教育に走る結果となる側面も、あるかもしれません。
 
 
ですが、小学校受験で出される課題を取り上げたとき、就学前の幼児が取り組む学びの内容として、非常に「おもしろい」というのが、私の小学校受験に対する考え方です。
 
 
そして、小学校受験の課題が、幼児期の学習としても良質である、というのは、視点を変えれば当然なことです。
 
小学校側が、小学校の学習範囲にあたらない領域で、入学者の選考のために有効な課題を考えようとすればするほど、その出題内容は、幼児期の学習として洗練されていくはずだからです。
 
 
 
私は、
「すべてのお子さま・ご家庭が、小学校受験に取り組むべきである」
とは、まったく思っていません。
 
むしろ、全国的に見れば、
小学校受験をするご家庭というのは、ごくごく少数派です。
私自身も含め、最寄りの小学校に通う、というのが「普通」です。
 
 
ですが、
「小学校受験に合格するための手段」としてだけでなく、
「小学校での学びの土台を作るためのお勉強」として、
小学校受験で出題されているお勉強に触れることは、
「すべての未就学児が取り組んでおいて損はない」
と思っています。
 
 
設問を「聞いて」理解する力。
ひとつの問題を、試行錯誤しながらとりくむ力。
時に、授業の後にも、その学びを振り返り、反すうする経験。
 
どれも、小学校からの学習においても役に立つ力です。
 
 
基礎学習の時間が、
「作業的なスキル」や「粘り強く反復学習をする姿勢」を身につけていく時間であるとすれば、
 
思考力の時間は、
小学校受験でも問われる「かず」「かたち」「ことば」など、就学前のお子さまたち向けの、さまざまなタイプ・単元の問題に触れていく中で、
じっくりと、「学ぶ楽しさ」をわかっていく時間であるとも、言えるかもしれません。
 
 
 
思考力クラスの特徴について、
 
前回の「一斉指導による集団学習」、
そして今回の「小学校受験スタイルでの就学準備学習」
という2つの特長をご紹介しました。
 
 
新年度の各クラスの準備も整い、
今年度の思考力の時間も、いよいよスタートしてまいります。
 
 
1年間、年中さん、年長さんといっしょに、
有意義な学びの時間を創らせていただけることを、楽しみにしております。