2020年9月18日、長崎県病害虫防除所 (植物防疫法に基づき、都道府県が植物の検疫及び防除のために設置する機関)が発表した「令和2年度病害虫発生予察 特殊報第1号」によると、県内でブルーベリーの葉の表裏に発生した白色粉状のものを、農林水産省門司植物防疫所及び三重大学大学院生物資源学研究科・植物医科学研究室にて調査した結果、うどんこ病であることが確認されたとのことです。

 

ブルーベリー うどんこ病

長崎県病害虫防除所添付写真 白色粉状の菌叢(葉表)

 

ブルーベリー うどんこ病

長崎県病害虫防除所添付写真 白色粉状の菌叢(葉裏)

 

ブルーベリー うどんこ病

長崎県病害虫防除所添付写真 葉の黄化、褐変症状

 

ブルーベリー うどんこ病

長崎県病害虫防除所添付写真 葉の黄化、褐変症状

 

報告の抜粋

2019年6月、県内無加温のブルーベリー栽培ハウスの一部で葉の表裏に白色粉状の菌叢(きんそう 菌の集合体)が見つかり、その後同一ハウス内で発生が拡大した。

2020年6月に同じ圃場で再度、同一の症状が発生した。

菌叢発生部分には黄化・褐変などの症状が認められた。

調査の結果、うどんこ病の代表的な菌 エリシフェ(Erysiphe sp.)とわかる。

菌による病状が発生した品種はブライトウェルとパウダーブルーのラビットアイ系ブルーベリー2品種だが、現時点で露地栽培のブルーベリー圃場での発生は確認されていない。

日本植物病名データベースに未記載であるため「ブルーベリー類うどんこ病」と仮称している。

この病状に適用される薬剤はないため、罹病した葉は圃場外へ持ち出して地中に埋めるなど適正に処分することを求めている。

 

今回長崎県病害虫防除所担当者に直接お話を聞きくことが出来ました。

ブルーベリーにうどんこ病はあまり認識がなく、実は専門家の間でも正式な報告はいままでなかった。

ブルーベリーのうどんこ病に登録されている農薬は日本では現在ない。

結果果樹類のうどんこ病対応の農薬を使うことになるが、この場合農薬登録時全ての果樹について効果を調べているわけではない。

ブルーベリーにまったく効かないということはないと思うが、使ってみて効果を確認するということになるかと思う。

今後果実への影響も調べていく予定。果実に影響があるようであれば既に大きな問題となっているのではとも思う。

自分は仕事がら、うどんこ病は庭木でなじみがありますが、ブルーベリーのうどんこ病はあまり研究がすすんでないとは知りませんでした。

 

農薬メーカー住友化学園芸にも問い合わせてみました。以下回答です。

カリグリーンは、ブルーベリーのうどんこ病には適用はございません。一方、ベニカマイルドスプレーは、果樹類のうどんこ病に適用がございますので、果樹類に含まれるブルーベリーのうどんこ病に適用があることになります。あいにく、弊社でブルーベリーのうどんこ病に適用がある農薬は、ベニカマイルドスプレーのみです。

補足:カリグリーン

野菜、リンゴ、花き類・観葉植物などのうどんこ病薬として知られている。

炭酸水素カリウムが主成分の抗菌剤・殺菌剤で、有機JAS規格(オーガニック栽培)で使用可能なので、カリグリーンを使用してもオーガニック野菜として扱える。

ミツバチなどの有益昆虫には害はなく、散布翌日に野菜を収穫することができるほど安全性は高い。

ブルーベリーは、灰色かび病に適用。

 

うどんこ病のおさらいですが、

1、カビが原因で葉や茎が白くなる病気。

病原は糸状菌(カビ)で、スフェロチカ フリキネア や エリシフェ ピシ。

2、土壌の窒素分が多かったり、日当たり、通気性が悪いと発生しやすい。

3 、5〜11月の間発生し、特に5~6月、9~11月頃に発生しやすい。

高湿度時よりも乾燥しているときに発生し、風に乗って胞子が飛散して短期間に広まる

4、重曹や酢で自作スプレーをしても良いが、効果は限定的。

 

うどんこ病とベニカマイルドスプレーについては、以前ブログに書きました。

よろしければご覧ください。

 

 

 

ブライトウェル うどんこ病

自宅のブライトウェルの現在の様子

 

植木屋ですのでブルーベリーの苗や樹をお客様に販売することもあり、果実には問題ないとしても、うどんこ病は見た目がよくありませんねぇ・・・

来年もうどんこ病が発生するようであれば、ベニカマイルドスプレーを試してみますか。