無農薬、無農薬と言いますがどこまで農薬について知っているんだろかと、今回はチコちゃん的話題でもあります。
隣町に住んでいるブルーベリー仲間がメタリジウム菌を使ったメタリッチという土壌改良材をコガネムシ幼虫対策に使って効果(感染し死滅)があった、いいですよと情報をくれました。
メーカーに問い合わせた回答は「産卵から概ね30〜40日位に使うと良い」とのことで、メタリジウム菌は寒いと活動が制限されるので7月ごろの追肥とともにマルチの下にメタリッチを撒くのがよさそうとのことでした。
自分は微生物農薬ではと思っているのですが、これを使っても自分らが言う無農薬ということになると思います。
紹介してくれた資料
農薬ですが、化学農薬と生物農薬があることは、1級造園技能士の学科試験対策で勉強して覚えていたのですが、詳細は忘れていました。
今回農薬について少し勉強しなおしました。
1、生物農薬とは
生物農薬とは、農薬としての目的で、昆虫、線虫、菌類などの生物を利用する。
特に天敵を利用する場合を天敵農薬、微生物を利用する場合を微生物農薬という。
- 有効期限が短い(特に昆虫類は短い)。
- 化学農薬との併用が不可、または限定的である。
- ビニールハウスなどの閉じた空間で利用することが多い。
- 有機農法でも使うことができる。
- 対象となる害虫、病気が限定的である。
- 人畜や環境に対して安全性が高い。ただし外来生物を利用した生物農薬は、周辺の生態系への影響が懸念されている。
- 化学農薬は同一のものを繰り返し散布すると、害虫や病原菌に抵抗性が生じることが多い。生物農薬の場合、抵抗性が生じることは少ない。
メタリジウム菌は昆虫病原糸状菌。
糸状菌は糸状の菌糸で生活する微生物で一般的にはカビと呼ばれている。
種によって様々な昆虫に感染し死に至らしめることから、害虫に対する微生物農薬として利用されている。
メタリジウム菌はその感染機構から昆虫以外に対して害がないと見られている。
それを利用して生物農薬としてバッタ、シロアリ、アザミウマなどの駆除(殺虫)に使われています。
3、農薬の登録はたいへん
農薬申請は、農水省のみならず、環境省、食物の残留農薬の関係で厚生労働省にまたがり、実験、検証はじめ申請にたいへんな手間とコストがかかります。
下の写真は農薬登録の申請先、独立行政法人 農林水産消費安全技術センター のホームページに掲載の「申請書類及び添付試験成績資料一式」です。
1回の申請でこれだけのものを揃えるという事例のようです。
うーん、すごいボリューム。申請者も審査する人もたいへん。
農水省2015年申請マニュアルの登録審査内容の一部ですが、
- 品質
有効成分、補助成分の種類及び含有量、製剤の物理的化学的性状、経時安定性等
- 薬効・薬害
申請された方法で、病害虫や雑草の防除に効果があるかどうか、使⽤した作物とその周辺の物に対して害を与えないかどうか
- 安全性
① 農薬を使用する人
急性毒性、皮膚や眼への刺激性等
② 農薬が使用された農産物を食べる人
慢性毒性、発がん性、繁殖毒性、 農産物への農薬の残留 等
③ 環境
- 土壌や⽔中での残留性、⽔産動植物、ミツバチ等への影響
- 農薬の製剤の形状、実際の使い方
- 農薬の使⽤と作物への残留
また登録が認められた後も定期的に再申請する必要があります。
何度か農薬取締法が改正され、人や環境を守るよう、より厳格になってきているということです。
反面、農薬登録は手間とコストがかかるようになってきています。
例えば木酢液は以前、商品名「松根木酢液」として登録された製品があり、農薬として販売されてましたが、その後経済的な理由で再登録はされませんでした。
この製品は農薬取締法上、失効農薬であり、販売、使用は禁止ということになります。
メタリッチが、コガネムシ幼虫を死滅(うすいピンク色の菌糸に覆われる)させるのに、販売元のJAはその効果に具体的に触れていないのは、メーカーが土壌改良材として販売しているからで、農薬取締法で農薬としての効果をうたった販売が出来ない為です。
メタリッチを農薬として申請しないのは、メーカーが申請のたいへんさを回避しているのではという人もいますが、どうでしょうか・・・・