Search for the Perfect Swingという本では、コックとヒンジは下記のように説明されています。
■コック(Cocking)
一般的にコックと言われるのは、左の画像のように親指側に折る動き(Radial Deviation)です。
右のように小指側に折るは、Ulnar Deviation・・・・リリース時に現れる動きです。
■ヒンジ(Hinging)
左画像のように、手のひら側に折るのはFlexionまたはPalmar Flexion(掌屈)、
右のように、手の甲側に折るのはHyper ExtensionまたはDorsi Flexion(背屈)です。
スウィングの解説などでは、下図のようにExtension、Flexionとも表現されます。
インパクト近くでは左手はフラットかFlexionが基本ですが、最近はストロンググリップが一般的になってきたのでExtensionが見られるプレーヤーも多くなってきました。
右手は、Extensionが基本になります。
画像は、LDAのドラコン大会で400ヤード以上の記録をだしたり、ツァーにも挑戦しているプレーヤーですが、インパクトスナップとラグトレーナー(ラグトレ)の考案者Kelvin Miyahiraのスウィング解析を参考にしてスウィングを構築しているそうです。
強烈なタメで、右手のヒンジングが強いですね。
日本の雑誌などでは、このようにタメを強くすると、インパクト直前から一気にリストを返していかなければならないと言われますが、インパクトからフォローをみると・・・・
インパクトでは、左ひじは少し曲がってターゲット方向を指していいて、左前腕の動きはSupinationというよりはPronationのように見えます。
つまり、リストやフェースを返す動きは見られません。
また、右手のヒンジ(Extension)は、しっかりキープされています。
フォローですが、グローブのロゴの位置を見ると、このポジションでもリストは大きく返っていないのがわかります。
腕はローリングしてません。
このプレーヤーはKelvinのスウィング理論を参考にしているのですが、インパクトスナップで覚える左前腕の動きとは大きく異なっています。
そもそも、インパクトスナップはインパクトからフォローにおけるBowing、Supination、Ulnar Deviationという3つの動きを同時に行うリリーススタイル覚えるため数年ほど前に開発された練習器具ですが・・・・
考案者も、最近ではファントムカメラ(超高速ビデオカメラ)を使ってインパクトからフォローの動きの解析を重ねてきた結果、SupinationとPronationに関する考え方がインパクトスナップを開発した当時とは変わってきています。
最近の解析によると、フェースコントロールの上手いプレーヤーやロングヒッターほど、クラブフェースのROC(Rate Of Closure)をできるだけ小さくするために、Supinationをできるだけ使わないようにしているということです。
そして、Supinationを使っているプレーヤーの場合は、ダウン後半の早い時期で使い(Early Supination)、インパクト直前からフォローでは一瞬Pronationを使っているということです。
つまり、インパクトまでSupinationを続けていくとフェースが返ってしまうので、Pronationでインパクト直前でストップをかける動きを使っていることになります。
これは、いままでのOpen to Shut というフェースターンのイメージ とは逆で、Shut to Open といイメージにちかくなります。
最近、下の画像のように、インパクト直前からインパクトで左ひじがターゲットを向き、少し曲がっているプロを多くみかけることが多いと思います。
ストロンググリップの選手たちの場合は、左手首はFlexion(Bowing)とは逆のExtension(Cup)があらわれますが、インパクト直後まではヘッドが手元より先行することはありません。
Fred Couples Billy Horschel
インパクトスナップを使って練習すると、はじめのうちはスライスが収まって弾道が強くなりますが、そのうちアイアンの引っかけやフックが止まらなくなってくる人が多くみられます。
これは、BowingとSupination使いながらフェースをターンをするためにBowed Rollという左に行きやすいリリーススタイルになりやすいからです。
(フェースターンを強く意識すると、右前腕のPronationも早く使いやすくなります。)
したがって、インパクト以降は、Ulnar Deviationでフェースのターンを抑えるようにしなければなりません。
こういった背景から新しく考案されたのが、ラグトレーナー(ラグトレ)です
考案者のKelvinは最近、ROF(Rate Of Flexion)という言葉をよく使っています。
これは、下図のように右手を手のひら側に折る動きの角度の大きさを表しています。
右手首を大きく手のひら側に折るほど、ROFが大きいということになります。
ROFの大きい人は、フリップが強くなります。
下の画像のように、インパクトで右手のExtensionがキープされているほど、ROFが小さいということになります。
(この右手の形は、フライング・ウェッジと呼ばれるのが一般的です。)
右手のExtension が強いと、インパクトではファンドファーストが強くなります。
雑誌などで、インパクトでは右手首の角度をキープしたまま押し込むようにするのが良いというレッスン記事をみることが多いですね。
しかし、一方では、インストラクターが下画像のようなポーズを作り、多くのアマチュアはインパクトで手が先行してフェースが開くからスライスになるので、インパクト直前で手元を止めてヘッドを先行させるように・・・・・・というようなレッスン記事も多く見かけます。
こうしたレッスン記事を読んで、フリッパーがたくさん生まれてくることになります・・・・
プロの動画を見ると、グリップやリリースのスタイルはプレーヤーによっていろいろなパターンがありますが、ダウンスウィングでROFが小さいのは共通しています。
ROFに若干の差があるにしろ、インパクト直後までは右手のExtensionが基本になります。
下の画像左では、トップからダウンの移行時でクラブを右回りさせるようにループさせてシャフトを寝かせているのでタメができているようにみえますが、右画像をみると右手のヒンジ(Extension)はほとんど伸びています。
そして、右手のFlexionを使いながらフェースをターンさせていくのでフリップロールになり、当時はダフリやフックが多発していました。
ラグトレを使うと分かりますが、ダウンで右手を早く手のひら側に折るとゴムは緩んでしまいます。
また、インパクトからフォローではゴムの戻る力で手のひら側に折れやすくなります。
つまり、ダウン初期からインパクト直後までは、右手のExtensionをキープしながらスウィングしないとゴムがゆるんだり、ゴムの戻る力に負けてしまうことになります。
すこし使っているうちに、普通のクラブよりラグトレで打ったほうが良いショットが出る人が多いのは、右手のヒンジがキープされてROFが小さくなっているからです。
画像左では右肘を引き付けるように降ろしていますが、右手のヒンジが解けています。
インパクトスナップで左手のBowing(Flexion)を意識して練習していたようですが、インパクトでは左手にBowingは現れていません。
次は、ラグトレを使って練習したきたあとのスウィングです。
右手のヒンジ(Extension)は、上の画像よりキープされています。
インパクトでは、左手のBowingも見られます。
このように、インパクスナップの動きを実際のスウィングで使うためには、ハーフウェイダウンまで右手のヒンジをキープしておかなければなりません。
今後は、左手より右手の形に注意していけば、さらに良くなると思います。左前腕のSupinationをできるだけ使わずにフェースターンを抑える・・・では、どうやってボールを捕まえるのか?
これには、下図のようなイメージの右腕の動きが重要になってくるわけですが、ROFは、この右腕の動きを活用するためにも重要な要因になります。