同級生Tさんとの交流が始まってから、初めて聞いた話。
最初の、卒業後5年目のクラス会で、それぞれ近況を発表したんです。
どんなお仕事してるとか、結婚した人もいたし、一人暮らし始めたよとか。
私は卒業後に勤めた会社3年目。
その時にTさんと仲のよかった子と、
「夏太郎さん、男性の多い職種だよね。きっと職場の華なんだろうなぁ。」って話してたんですって。
んー?
確かに男性は多かったよ?
でも、職場の華扱いだったかといえば、答えはNoだなぁ。
Tさんからの話題と、出張先のホテルや駅で、フレッシュな新入社員さんらしき若人をたくさん見かけたのをきっかけに、あの会社で過ごした6年半を一気に思い出しました。
私が配属された部署には、取引先のお嬢が先輩としていました。
仕事はできるけれど、「私は○○会社社長令譲よ。」って自ら言って回るような、頭の悪いタイプ。
おまけに部署内の、独身ではあるけれど20歳以上離れた上司と付き合いつつ、既婚者とも関係を持っちゃう。
会社として、彼女を置いておきたくはなかったんでしょう。私を入れて居場所をなくし、追い出そうとしていたようです。
私は私で、30年前もこのまんま。
「こんなバカ女、とっとと抜かして登り詰めてやるわ。」って宣言しちゃう、鼻息荒い新入社員でした苦笑。
あ、どうだろ。今ならそこまで、思っても口には出さないかな?
生意気だって、先輩が関係を持つお取り巻き上司達に飲みに連行されて、説教されたりね。
追い出しの圧をはねのけ、先輩を残すため、先輩からも上司からも、仕事は一切もらえないまま1年過ごしました。
これ以上ここにいてもなぁと退職を考え始めたタイミングで、所詮この程度の子育てしかできなかった先輩のオヤジさんの会社は、我が社に多大な負債を残して倒産しました。
娘はいづらくなって退職。
チャンス到来。
今と変わらぬ、『超絶口が悪い、気が強いけれど、お仕事だけは一生懸命やります』な私が出てきました。
本社でしたので、男性が多いとはいえど、現場のある地方の支店長が上がってくるので、天狗になったオッサンばかり。
まだバブルを引きずっていた(就職前にバブル崩壊はしてたんですけどね)オヤジ達+どこまでも昭和の価値観の会社。
オヤジ達は、女遊びに必死。
(そりゃのちのちに、会社もつぶれるわな)
暇なんでしょう、あとは『女の子の素行調査』として、社内預金の額を公表されたり、帰路で降りた駅をチェックして「自宅最寄駅じゃない」と変な噂立てられたりね。仕事帰りにパソコンスクール通ってりゃ、反対方向の駅で降りるっつーの。
『お茶汲みの女の子』扱いです。
勤務時間中はゼクシィとじゃらん開いて、結婚式にボンヤリ夢見て。いつもニコニコ、エロオヤジに媚び売って、体触らせるのがお仕事なネーチャン達とは反りが合わず、「ここはキャバクラじゃねーんだよ。」で、黙々と仕事してました。
周りも私はめんこくない。おかげでセクハラ被害にあうことはありませんでしたが、あからさまな社内いじめのターゲットでしたね。
ネーチャン達からも、バカなオヤジ達からも。
でも、ここぞの仕事は全部私に頼んでくる。
(あの子達じゃ無理だからって、こっそりね)
私以外の女の子は、誕生日に上司からケーキのプレゼントがある。美人であれば、他部署の子にも。
私も実は1度だけもらったことがありますが、それは媚びネーチャンが、「4/13は、夏太郎さんお誕生日なんですよぉ。」とオヤジにアピールしたからね爆笑。買わないわけいかない。
いじめが激務に発展したのが引き金で、発病したのもここにいた頃です。
親からは退職も勧められましたが、「私はあんな奴らに負けっぱなしで逃げたくない!」って根性、出しちゃったんですよね。
そんな日々、救いだったのは、私のポジションは、現場との連絡がとにかく多かったこと。
現場には歳の近いお兄ちゃん達がたくさんいたのですが、この人達が真っ当シビア。
いくら本社にかわいい、美人がいると聞いても、仕事で印象に残らないと、名前すら覚えてくれない、興味も持たない。
間違えたり失敗して迷惑をかけてしまうこともたくさんありましたが、やる気さえあれば、誰一人怒ることなく、根気よく仕事は教えてくれました。
あのまま会社が存続していたら、彼らがトップになった会社は、私みたいのには居心地よくなってただろうな。
あのお兄ちゃん達と働いた時代は、今でも私の宝です。
特に仕事のできる2期上の先輩達のグループとは、プライベートでも親しくなって、遠方ながらも行き来して遊ぶ関係になりました。
のちに恋愛に発展した人は2人(ひとりが元旦那)いましたが、基本は兄弟、同じ歳ならいとこみたいな感覚。男子校ノリでワイワイしてるのが、本当に楽しくて。
気さくで分け隔てしない人達でしたから、私のお友達も連れてきなよって誘ってくれ、小悪魔とAを連れていったこともあります。
(彼氏も連れてこいよってくらい、あっけらかん)
変にチヤホヤしないし、でも誰に対しても優しく親切にはしてくれて。
「会社での夏太郎って、どうなんですか?」って聞かれても、「夏は有名人。全国の現場で名前知らないヤツ、いない。」
(アンタ一体、会社でなにやらかしたの?)のささやきを聞き逃さず、「違うって。いてくれて、すっごく助かる。」
小悪魔の会社で同じ質問をしたら、みーんな「職場の華ですぅ。」って鼻の下伸ばしてたんだもん笑。お姫様扱いでチヤホヤされてたのも、目の当たりにしたしね。あれ?私の会社とはなんか違うなぁって。
取引先にも恵まれていました。
以前、このブログに書いたことのある、口は悪いけれど、新人だった私に電話の取り方心得を教えてくださった方。
腕にお絵描きがあったり、なにかとクセの強いオッチャン達も優しくて。
接待ゴルフコンペは、ブスの私は留守番組。
みんなの留守を見計らって、「他の子に渡すな、全部ひとりで食べろよ。」って差し入れのアイスたくさん持ってきてくれたりね。
お得意様割引の予約も、担当営業マンが気にくわないからと、私に依頼してきたり。
私じゃ社内規程以上の割引出せないから、上司に頼んでって言っても、聞いてくれないの苦笑。
で、お礼のお菓子。
お仕事を評価してくださった上で、娘を見守るような「かわいいカワイイ」でしたから、ぜんぜん不快じゃありませんでした。わかるでしょ、それが性的な類いなのかくらいは。
この部署には、私の他に2人の女子がいたのですが、当時のキャッチフレーズが傑作なんですよ。
「美人のAさん、かわいいBさん、頭のいい夏太郎さん」
頭いいってさ、AさんBさん比だから別になんにも賢くないわけ。それで喜んでた私も相当にオメデタイ頭だなぁって、今なら笑っちゃうけれど。
会社の傾きをいち早く察知し、その他自分の人生設計で転職した私の退職後、1週間。
直属の、お遊びグループで一緒だった男性の先輩から「夏、カムバック!」のメールが。
「は?どした?」
「AさんもBさんも、得意先に送る書類の宅急便、準備できねーんだよ。全部夏太郎さんに任せてたから、やり方わかりませんって。その程度はさすがにやれると思ってたけど、ひでぇな。」
ほらね、私の頭のいいは、宅急便が送れるか否かのレベル笑。
退職の日、上層部からは、
「先輩や上司にいじめられたのに、よくやり抜いた。」
オマエラ、見てみぬフリしたよな。今さらそれ言うか?
「俺はお前嫌い。でも、仕事はできたよな。」
うっわ、26の小娘にそれ言っちゃう?みっともねぇオヤジ。
退職を決めていた最後の春、現場支店長がひとり、我が部署へ異動してきました。
「支店でよ、若い衆に『どこの部署か決まった?』って聞かれたのよ。ここだって答えたらさ、『夏太郎さんとこじゃん、よかったね。あの人、本社15人女子ナンバーワンで仕事できるから。』だって。」
現場の誰かは未だに知らないけれど、そんな風に見てくれて、ありがとう。
負けて逃げ出さなくて、本当によかったって思えた最後の、最高の思い出です。
私、別にお仕事ができるわけじゃない。
ただ、目の前にあることはひとつひとつ向き合ってきた、それだけ。そこは今も変わらない。
時は移り変わり、令和の時代へ。
例によっての、チームSクレーム炎上案件について、今度は旧課長が社長呼び出しの事情聴取へ。
「なんで俺よー?」と、忙しい中プンスコしながら社長室から戻るなり、
「社長がさ、『夏太郎さん、性格キツイから』だってよ。」
炎上させる程放置しているのは、上司達の技術力が足りないから?それなら外注するか?って提案されたそうなのですが、
「社長、その作業、ウチでは他のSEでは太刀打ちできないくらい、夏太郎さんがマスターしきってますよ。僕と彼女の合作があるのですが、バカオヤジがユーザーにそれを提示していない可能性がありますね。」
「はっ?夏太郎さん?」
からの話題だったらしい。
(自分の手柄にしない上司のカッコよさ)
あーはいはい、どうせ先日の、
「あんなバカな上司(チームS)いりません。」
でしょ?
あのね、平成も令和も、
ここ会社!
性格悪いって言われても、まったくダメージないんだよね。
「アイツ使えない、ポンコツ。」
って言われる日がきたら、凹みすぎて立ち直れないけど。
「私、優しいですよー?」
「ん、知ってる。」
「じゃあいいですよね?さ、仕事しますか笑。」