色ボケしろくまです。• ᴥ •

 

控えめな量のお酒と、おつまみを購入してホテルに戻る。

 

車の密室感とは違うホテルの一室の密室感。

どこに座ろうかウロウロしてしまった。

 

 

Kくんはベッドに腰掛け、私は目の前にあった椅子に座った。

 

今考えると、Kくんの隣に座るべきだったなと思うが、平然を装いながら内心緊張しまくっていた私は、そんな事を考える余裕されなかったのだと思う。

 

 

お酒を飲みながら、お互いの話をする。

 

学生時代のこと、家族のこと、今までの恋愛のこと、将来のこと↓

 

Kくんとは、話題は尽きない。

 

Kくんには、伝わる気がしたのだと思う。

 

その時の感情の動きや、実際にどう感じていたのか、なぜその話をするのか…

 

私は、Kくんのそれが凄くわかったから。

 

 

話が続かない人がいるけれど、それはお互いに価値観や価値基準が違うからなのだと思う。

悪いこととかではなく、合うか合わないかの話なのだけの話。

 

でも、それが共有できる相手だと話し込んでしまう。

それが心地良く、楽しいから。

 

 

Kくんはずっと運転してくれていたので、私から早めに休もうと提案した。

 

Kくんがシャワーを先に譲ってくれたので、私からシャワーを浴びた。

スケベな下心もあったけれど、それより何よりKくんにハグしたかった。

 

シャワーを浴び終わり、部屋に戻ってKくんと交代。

一先ずベッドに座った。

 

 

脱ぎっぱなしにしていた服を片付けようとすると、服がない…

 

あれ?そんな色んなところに散らかしたっけか…

 

 

当たりを見回すと、椅子の上に綺麗に畳まれた私の衣類が置いてあった。

パーカーは、形が整えられてハンガーに掛けられていた。

 

 

 

Kくん…

 

そういう気遣いって、本当嬉しいんよ。

ありがとう。

 

 

朝早く起きて、4時間近くかけて運転してここまで来てくれて、さっきまで運転が好きだからと言ってずっと運転してくれて…しかも私の面倒まで見てくれて。

 

 

Kくんがシャワーから出てきて、今日のお礼をした。

 

私「今日一日本当にありがとうね。遠くから来てくれて、しかもずっと運転してくれて、私の服まで整理してくれて…」

 

K「…そんな事言われたら、泣きそうになるからやめて笑」

 

 

 

 

この人は、今までどんな経験をしてきたのだろうか。

 

Kくんは中学の時にいじめられていたと教えてくれた。

コンパスで手を刺された事があると言っていた。

 

 

 

K「手に刺さると、痛いんだよね笑」

 

 

そんな、さらっと言えることじゃないんよ…

当時の気持ちをそのまま言うと、相手がしんどくなるのがわかるからでしょ?

 

すでに無意識の領域にあるだろう彼の思いやりの中の、無意識の小さな悲鳴を聞いた気がした。

 

 

K「そういうのがあったからかわからないんだけど、プロレスとかボクシングとか、人が殴られるようなのって見れないんだ💦」

 

 

お互い何かが共鳴したように、抱きしめ合う。

こみ上げる感情はなんだろうな。

もっと奥まで、触れられたら良いのに。

 

 

私は言葉で伝えるのが下手だから、抱きしめて全部伝われば良いのに。

Kくんの事が全部分かれば良いのに。

 

 

そのままベッドに入り、そのまま抱き合った。

 

Kくんの体温が温かい。

それがとても愛おしい。

 

 

お互いを少しだけ愛撫したりもしたが、抱きしめてキスばかりしていた。

 

Kくんはずっと私の顔を見つめながら、可愛いと言ってくれた。

 

それが嬉しくもあり、恥ずかしい。

 

普段おちゃらけてブスとして生きている私は、それを上手に返せなかった。

 

体の大きなKくんが私に甘えているのが、可愛いと思いながら寝顔を見ていた。

 

 

未来はまだわからない。

 

けれど、私はKくんと一緒にいられる未来を想像していた。

 

 

 

 

つづく。