しろくまです。

 

ゲイ友達のOが、彼氏くんと別れる!息巻いていたので、憂さ晴らしの為ゲイバーに一緒に行くことになったNと私。

 

一通り楽しんだゲイバーも閉店時間になった。

 

前回の続きです↓

 

 

田舎のゲイバーは、都会のそれと比べて閉まるのが早い。

でも、Oの荒れている理由を聞いたママさんが、閉店時間を超えてもOの話を聞いてくれた。

 

 

Oが彼氏くんに対する愚痴をこれでもかと吐いた。

それは良いのだ、吐き出して楽になるのならいくらでも吐いてくれ。

 

でも結局「別れる!」からの「彼氏くんは自分がしんどい時に助けてくれたんだよね」のループはまた続く。

 

 

そして、最終的に、

 

 

O「彼氏くんが俺との関係を続けたいなら続ける」

という考えにOは辿りついたのだ。

 

 

私はモヤッとしてしまった。

 

 

人の応えにケチをつけるのも良くないし、Oが言っていることもわからなくもない。

でも、Oの主体的な自分の気持はどこなのかとやきもきしてしまう。

 

 

私は丁度一年前くらいに彼氏と別れた。

4年付き合ったが、妥協できない価値基準がお互いに違った。

ケンカもあったが、お互いきちんと納得した和解は出来ていなかったように思う。

 

別れた後、思うことも沢山あった。

悲しくも寂しくもなった。

 

 

元彼の中にはあったがわからないが、私には続けていく選択も勿論あった。

でも、きっとまた同じ事を繰り返してお互いに不満を抱えるのなら、お互いのための別れを選ぶのは間違いじゃなかったと思う。

 

 

かと言って、それをOに強要する気もない。

 

 

でもそれだけ不満を抱えて、Oは幸せなのだろうかと思ってしまった。

明日や明後日の話じゃなくて、5年10年先も彼氏くんと一緒に居たいのだろうか。

 

 

「Oはどうしたいの?」

 

 

ママさんがその疑問をOにぶつけるが、Oはまた彼氏くんの選択に任せると言う。

 

 

 

今回は、相談の受け方が間違っていたのだろうな。

Oはきっと判断じゃなくて、話を聞いて欲しかっただけなんだろう。

その見解を見誤っていた。

 

 

閉店したゲイバーを後にしホテルに向かう道中、Oは少し不機嫌だった。

私やママさんに、自分はどうしたいの?の質問攻めに嫌気が差したようだった。

 

 

 

少し無言だったOだが、

 

O「なんでそんなことばかり言われなきゃいけないの?

しろくまもママさんも、彼氏と別れて幸せじゃないのに何でそんな事言えるの?」

 

 

一瞬、本当に一瞬だけ。

頭に血がのぼる感覚があったが、違うなと思った。

 

私は別に彼氏がいない事を不幸せだと思っていないんだな。

いてくれたらそれはそれで幸せだが、いないから不幸とは違う気がした。

 

それでも、Oは私の事をそう思っていたのかという事が、少なからずショックだったのかもしれない。

酔っ払っているから仕方がないとも思うが、心の何処かがざわざわする。

 

 

私は言葉が出なかった。

いや、正確にはOとの価値観は違うし分かって貰うことを諦めてしまったのだな。

 

Nがそんな空気を打破しようと気を使って話しかけてくれる。

でも、それに反応したら私の言葉にOが噛み付いてきそうだと思い、ずるい私はその話題を避けて冷静を装った。

 

 

この状態でOと一緒に居たら、何か良くないことが起きてしまう気がして、ホテルには戻らずご飯を食べて始発の電車で家に帰った。

 

 

残っている酒のせいなのか、Oの言葉が消えないからか、家に着いて横になってもなかなか寝付けなかった。

 

 

NからLINEが入っていた。

 

 

N「さっき起きたら、Oは昨日の記憶無いみたい💦でも、何かしちゃっていうのはあるみたいで、今となりで謝罪のLINE作ってるよ笑」

 

Nの気遣いがありがたかったが、記憶のない謝罪はどれだけ価値があるのか、そもそも私は謝られることをされたのか、頭がぐるぐるする。

 

 

Oから簡単なLINEが届き、私はできるだけいつもの私を装って返信した。

 

 

ごく僅かな水が、私の嘘つきで開きたくない心に溜まっていく気がした。

自分では気にしていないつもりなのにな。

なんだかちぐはぐな頭と心だなと思う。

 

 

でも、発端は自分のこうした方が幸せだと押し付けてしまった自分の行動が原因なのだと思った。

 

 

暫く息を止めて走り、風化していくこと望むそれは、いけないことなのだろうか。

 

価値観の違いは問題じゃないんだよね。

ただ、自分がこういう時はこうして欲しいという理想から外れると小さな歪みになってしまうのだろうか。

 

 

次Oに会う時、きっと私は笑っていると思う。

でも、一部に関してはお互い心を開かないような気もしてしまうのだ。

 

 

 

おしまい。