黄落や流れて水の美しき
黄落や京都も奥の細格子
中秋やうすく砂敷く古寺の庭
新涼や着物の布目手に触れて
静魚
令和六年十月のSHIROKANE句会のご報告です。 参加は静魚先生、夜空さん、結女さん、走流さん、分水嶺さん、陶青子さん、地平線さん、綺羅里さん、旅男さん、むらさきさん、悠悠さん、桃兎の12名。 毬さん、知花さん、美歩さんからの投句を含め、全百五句の中から、先生の特選、選と参加者それぞれの特選を清書順にご紹介いたします♪
今月の兼題
[黄落(こうらく) 黄落期]
[仲秋 中秋、秋半ば、仲の秋]
他当季雑詠
[河内静魚 特選]※全七句 ◎は特選中の特選です♪
黄落や暮らし慣れたる坂の上 桃兎
黄落にすつかり馴染むキッチンカー 美歩
手鏡の隅よりくすみ秋入梅(あきついり) 桃兎
黄落や尾を引きずりて尾長鶏 旅男
結女句
◎結女句
黄落や一番パンの焼き上がる 毬
[河内静魚 選]※全十五句
黄落や無辺に散りてまた無辺 陶青子
地下鉄の地上に出たき黄落期 走流
淋しさも楽しさも降る黄落期 夜空
彫刻の蒼き眼の先黄落す 毬
仲秋や影にながさを感じをり 美歩
映画館出て黄落の主人公 分水嶺
黄落の中に学園定まりぬ 分水嶺
秋なかば上着はさらと腕に持ち 美歩
黄落の中を歩けばかさこそと 綺羅里
秋半ば寄り添ふ肩の温かし 知花
秋に病み友なつかしむ日暮かな 地平線
秋うらら猫の眉間の短き毛 桃兎
結女句
黄落の中立ち上がるサキソフォン 毬
お互ひのこと想ひあふ無月かな 走流
[結女 特選]
黄落期エリザベートの裾長し 知花
[地平線 特選]
黄落や流れて水の美しき 静魚
[桃兎 特選]
ほんのりと空に匂ひや栗御飯 静魚
[綺羅里 特選]
結女句
[むらさき 特選]
八十の自分史厚し大満月 夜空
[走流 特選]
手鏡の隅よりくすみ秋入梅 桃兎
[悠悠 特選]
秋なかば上着はさらと腕に持ち 美歩
[分水嶺 特選]
中秋やうすく砂敷く古寺の庭 静魚
[陶青子 特選]
街道のコスモス揺らす風の束 毬
[夜空 特選]
狗尾草いたずらの過ぐ次男坊 分水嶺
[旅男 特選]
お互ひのこと想ひあふ無月かな 走流
以上でした♪
次回、2024年11月の句会の兼題です。
[紅葉(もみじ) 紅葉(こうよう)、夕紅葉、もみづる、色葉、村紅葉、谷紅葉、紅葉山、紅葉川 ]
晩秋、霜が降りるようになると、落葉樹の葉が葉緑素を失ったり、花青素が変質したりして、紅・黄とりどりに彩られる。ふつう、紅葉といえばみごとな色を呈する楓を指すが、その他の木にもいう。山紅葉などという場合がそれで、種々の木の紅葉を一括している。黄葉もまた「もみじ」と訓む。総じて新緑のきれいな土地は紅葉も美しい。紅葉した葉が日に照り輝くのを照葉という。鮮やかな紅葉を見せるのは、昼と夜の温度差の激しい山間部や北国で、最低気温が八度を割ると紅葉が始まり、五、六度で全盛を迎えるといわれる。また葉が黄色に変わる櫟や銀杏などは黄葉の字を当てる。草の中で葉が美しく変色するのを草紅葉という。
[文化の日 明治節、文化祭]
十一月三日。明治天皇の誕生日で、明治時代は天長節、太平洋戦争が終わるまでは、明治節とされた。戦後、国民の祭日に関する法律によって、自由と平和を愛し、文化をすすめる祝日とされた。文化の発達に貢献した功労者や芸術に対して、文化勲章、芸術祭賞が授けられる。
(「合本現代俳句歳時記」角川春樹編 より)
仲秋や漁火は月より遠くして 山口誓子
●次回:2024年11月2日土曜日 13:00〜 会場:白金いきいきプラザ(白金高輪駅 徒歩7分)3F-C室
●兼題で四句、当季雑詠で三句、の計七句お持ちください。