夏果ての沈んだやうな街歩く
かなかなはよほど悲しき牧水忌
こんもりの奈良の山々鳥渡る
草はらにすこし音あり牧水忌
会釈には会釈を返し盂蘭盆会
静魚
令和六年九月のSHIROKANE句会のご報告です。 参加は静魚先生、夜空さん、走流さん、分水嶺さん、陶青子さん、綺羅里さん、知花さん、旅男さん、むらさきさん、桃兎の10名。 毬さん、地平線さん、美歩さんからの投句を含め、全九十句の中から、先生の特選、選と参加者それぞれの特選を清書順にご紹介いたします♪
今月の兼題
[盆 盂蘭盆(うらぼん)、盂蘭盆会(うらぼんえ)、魂祭(たままつり)、盆棚、魂棚、精霊棚、棚経、真菰筵、盆供、新盆、あら盆、精霊祭、風の盆、盆前、盆過、盆会、瓜の牛、瓜の馬、茄子の牛、茄子の馬]
[牧水忌]
他当季雑詠
[河内静魚 特選]※全八句 ◎は特選中の特選です♪
物音に耳さとくゐる盂蘭盆会 分水嶺
富士吉田の火祭り
講の家それぞれに焚き火の祭り 綺羅里
瓜馬のすべる背中に揺られ来し 知花
◎山河呼ぶ列車の旅や牧水忌 むらさき
秋風や琵琶かき鳴らす技芸天 夜空
秋風や剥がれさうなる千社札 分水嶺
ゆるやかに風の過ぎゆく盂蘭盆会 地平線
茄子の馬踏ん張り立つは箸の脚 知花
[河内静魚 選]※全十四句
新盆の友のメルアド消せぬまま 陶青子
盆の月君の愛せし椅子とジャズ 桃兎
爪先に力入りし盆の舞 知花
盂蘭盆会変はりゆくこと受け容れて 桃兎
茄子の馬長さの違ふ脚で立ち 知花
旅の夜の一日を綴り牧水忌 地平線
花開くごとき旅せむ牧水忌 走流
古着着てもう一働きの鳥威し 分水嶺
遠雷や湯浴みの火照りさめやらず 夜空
旧姓のままの思ひ出赤のまま 旅男
姦しや女系家族の盂蘭盆会 分水嶺
牧水忌亡父の猪口に花ひとひら 毬
盂蘭盆会香のかはりに流すジャズ 桃兎
火祭や木花咲耶姫目覚む 綺羅里
[旅男 特選]
夏果ての沈んだやうな街歩く 静魚
[知花 特選]
香り良き酒に魅せられ牧水忌 綺羅里
[陶青子 特選]
茄子の馬長さの違ふ脚で立ち 知花
[桃兎 特選]
今朝の水秋を知らせり手の甲へ 綺羅里
[分水嶺 特選]
山に生まれ山に寄り添ふ盆の月 毬
[夜空 特選]
山河越え揮毫の旅や牧水忌 分水嶺
[走流 特選]
草はらにすこし音あり牧水忌 静魚
[むらさき 特選]
盂蘭盆会香のかはりに流すジャズ 桃兎
[綺羅里 特選]
会釈には会釈を返し盂蘭盆会 静魚
以上でした♪
次回、2024年10月の句会の兼題です。
[黄落(こうらく) 黄落期]
秋になって楢や、櫟などの木の葉が黄色にもみじして落ちることをいう。また地に落ちている葉を指していうこともある。黄葉の代表である。銀杏や鈴懸の木(プラタナス)の葉が色づいて落ちるのは美しい。
[仲秋 中秋、秋半ば、仲の秋]
陰暦八月十五日のことだが、一般には秋も半ばの候として用いられている。大体、陽暦の九月と重なる。虫も鳴きはじめ、月も美しく、いよいよ秋のさわやかさを感じる。
(「合本現代俳句歳時記」角川春樹編 より)
仲秋や漁火は月より遠くして 山口誓子
●次回:2024年10月5日土曜日 13:00〜 会場:白金いきいきプラザ(白金高輪駅 徒歩7分)3F-C室
●兼題で四句、当季雑詠で三句、の計七句お持ちください。