白井市郷土史の会令和6年3月例会を3月2日(土)午前、白井駅前センターを会場に開催しました。
タイトルは「文化財の調査とデジタル化」、講師は白井市教育委員会学芸員の戸谷敦司さんです。
お話の内容は、ご自身が文化財行政に携わる中で出てきた様々な課題や市民等からの要望に対して、創意工夫を凝らしながら「デジタル化」で対応してきたという実践の軌跡でした。
具体的には
1 土地所有者から同意が得られない古墳の測量(小森入口遺跡)
→ 3次元写真計測により3Dデータを作成し測量図を作成
2 全体がわからない絵画の復元(印西牧場之真景図)
→ フォトショップで下絵を合成し復元図を作成し、郷土資料館で展示
3 子ども向けの文化財解説冊子作成への要望への対応(文化財解説冊子)
→ フォトショップで画像を加工し漫画仕立ての「なし坊の文化財解説シート」を作成
4 紙媒体の散策マップのデジタル化への要望への対応(しろい散策マップ)
→ 東京大学の無償協力で位置情報を利用した地図アプリを作成
5 効率的な測量調査の実施(塚の測量図)
→ 上人塚(近世)を3Dレーザースキャナーで測量して測量図を作成。データを3Dプリントし郷土資料館で展示
6 人の住む古民家を動画で紹介(滝田家住宅)
→ ドローンで撮影し、市公式アカウントで公開
出演・撮影・ナレーション・BGMを市民の協力で作成
7 文化財解説シートの動画化への要望への対応(文化財解説シート)
→ なし坊の文化財解説シートをパワーポイントで動画化BGMは市民協力。
8 動画を利用した文化財マップ作成への要望への対応(文化財マップ)
→ イラストレーターでQRコード版マップ、インデザインでタップ版マップを作製
9 個人蔵で公開不可な仏像を展示へ(妙見菩薩立像)
→ 3Dスキャナーで計測し、PDFで公開。
また、講演の後半では近年の文化財調査成果として、古文書目録では断髪届や葬送儀礼の変化・生業カレンダー・牧関連資料の再調査・佐倉炭の再考等、民俗調査では古写真の掲載と方言辞典作成、埋蔵文化財調査集報では七次地区の板碑210基を新規に調査し報告された旨のお話がありました。
今後も更なる文化財調査の進展と新たな成果の公開が期待されます。
講座風景1(導入)
講座風景2(印西牧場之真景図)
講座風景3(滝田家住宅ドローン撮影)
講座風景4(仏像の3Dスキャナー計測)
講座風景5(白井の方言辞典紹介)
「かまげっちょろ」・「はなっぽろ」の意味は?等