論文試験の勉強方法(効率的な勉強方法) | 法律のお部屋

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司法試験や予備試験の勉強方法などについて書いていきたいと思います。

論文試験の勉強方法は、分野別に整理された問題集を繰り返すことです。

 

今回は、その効率的な勉強方法についてです。

 

答案を自分で書いてみることは、時間がかかりますが知識の定着という意味ではかなり有用です。

しかし、どのように短い問題でも答案を書くとなると、1問に答案を書くだけで1時間近くかかってしまい、復習の時間も考えると1問当たり2時間など、現実的とは思えない時間が必要になってしまいます。

 

他方、全く自分で考えないと、どこが分かっていないのかが分からず、結局解答例を丸暗記するはめになり、全体的には逆に時間がかかってしまう可能性があります。

 

そこでおすすめをしたいのが、答案構成のみをするという勉強方法です。論文試験は、①問題文を読む、②法律的な問題について整理をする、③答案に書く内容を整理する(答案構成)、④答案を作成するという流れをとります。答案構成のみをするということは、③までで止めるということです。

 

具体例を見てみましょう。

 

例)B君は、A君から、A君が所有する土地を買い受け、所有権移転登記を経由した。C君は、B君がA君に代金を支払っていない間に、B君から、その土地を買い受け、その所有権移転登記を経由した。その後、A君は、B君が代金を支払ってくれないということでB君との売買契約を解除した。C君は、B君がA君に代金を支払っていないことをB君との契約時に知っていた場合、A君に対して土地の所有権を主張することができるか。

 

この問題の場合の答案構成は、次のようになります。

 

答案構成)

1 A→C 売買契約解除 所有権(民法545条1項)

  C 「第三者」(545条1項ただし書)?

 ①解除前(善意・悪意問わず)(なぜなら、解除の効果は直接効。解除されると限らず)、②権利保護要件として登記必要(なぜなら、解除者の犠牲)

  C ①②OK。

  C 勝ち

 

この答案構成に従って、答案を作成した場合は、次のようになります。

 

(答え)A君は、C君に対して、B君との売買契約を解除したことにより、土地の所有権がA君に復帰したと主張する(民法545条1項)。これに対し、C君は、自身が同条1項ただし書の「第三者」に該当することを理由に反論することができないか。「第三者」の意義が条文上明らかでないこと、C君が解除原因について知っていたことから問題となる。

 この点につき、解除の効果は契約を直接、遡及的(さかのぼって)に無効にするものであると考えられるから、「第三者」とはそのような遡及的な効果によって害される者であること、すなわち、①解除前に法律上の利害を有するものであることが必要となる。また、同項は解除原因があること(ここでは代金が未払であるため解除され得る状態にあったこと)の善意(知っていた)か悪意(知らなかった)かを区別しておらず、解除原因があったとしても解除されるとは限らないため、「第三者」であるかどうかについて善意・悪意は問わないと考える。もっとも、解除者の犠牲のもとに保護される以上、権利保護要件(権利者として保護されるための資格)として、②登記を経由していることを必要であると考える。

 本件において、C君は、A君がB君との売買契約を解除する前にB君と売買契約を結ぶことで法律上の利害を有するに至っており(①充足)、その所有権移転登記も経由している(②充足)。したがって、C君は、「第三者」に該当する。

 よって、C君の反論は認められ、C君はA君に対して土地の所有権を主張することができる。

 

 

なお、答案構成の後に解説を読むのですが、その際の注意点・復習方法については次回書きたいと思います。