判例とは何か | 法律のお部屋

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司法試験や予備試験の勉強方法などについて書いていきたいと思います。

今回は、判例とは何か、特に最高裁判所が特に大事と言っている判例とは何かについて書きたいと思います。

 

目標は、①裁判例、②広い意味での判例、③狭い意味での判例の違いが分かるようになることです。

 

裁判所には、大きく分けて、地方裁判所(多くの事件を最初に判断する裁判所)、高等裁判所(多くの事件を2番目に判断する裁判所)、最高裁判所(多くの事件を最終的に判断する裁判所)があります(これ以外に、金額が比較的小さい事件を専門的に扱う簡易裁判所、家庭に関するなどを専門的に扱う家庭裁判所があります。)。

 

最高裁判所の判断は最終判断となるため、過去の事例であっても他の事例に対してもとても大きな影響を持ちます。そこで、法律家は、裁判所一般(地方裁判所、高等裁判所、最高裁判所、簡易裁判所、家庭裁判所)が出した判決(①裁判例)と、特に最高裁判所が出した判決(②広い意味での判例)を区別します。

 

さらに、最高裁判所が出した判決の中でも、先例としての価値が高く、今後に大きく影響を及ぼすと考えられたものついては、最高裁判所民事判例集(民事事件に関する判決を集めたもの。一般に「民集」(みんしゅう)と呼ばれます。)及び最高裁判所刑事判例集(刑事事件に関する判決を集めたもの。一般に「刑集」(けいしゅう)と呼ばれます。)という本に載せられることになっています。

最高裁判所の判決の中で、この「民集」や「刑集」に載せられた判例が、最高裁判所が特に大事といっている判例(③狭い意味での判例)になります(最高裁判所の中に置かれ、最高裁判所の裁判官もそのメンバーに入っている、判例委員会というところで選ばれます。)。

 

これらの関係を図にすると次のようになります。

 

 

最高裁判所の判決といっても数が多いのですべてを勉強するのは大変です。そのため、効率よく勉強をするためには、③狭い意味での判例に絞ることが有益となります。

 

「民集」や「刑集」に載せられた判決かどうかを見分ける方法は、判例の年月日の後ろに、「民集〇巻◯号◯頁」「刑集◯巻◯号◯頁」という記載があるかどうかで簡単に見分けることができます。

 

なお、極めてややこしいのですが、「集民」(「しゅうみん」と読みます。)や「集刑」(「しゅうけい」と読みます。)と記載があるものは、「民集」や「刑集」に載っているものではないので注意が必要です(同じく最高裁判所の中でそれなりに重要と考えられた②広い意味での判例ではなるのですが、先例としての価値がそこまで高くはないと考えられたものです。それぞれ、「最高裁判所裁判集 民事」、「最高裁判所裁判集 刑事」という似て非なる本に載せられた本です。)。

 

次回は、効率的な論文試験の勉強方法とは何か、繰り返しとはどの程度かについて書きたいと思います。