北京のアリババ「盒馬鲜生」(フーマーションシェン) | 城取博幸のスーパーマーケット見聞録

城取博幸のスーパーマーケット見聞録

城取博幸が国内外のスーパーマーケットを回り、ヒットしそうな商品紹介を
して行きたいと思います。

北京北部の「盒馬鲜生」(フーマーションシェン)

2017年から始まった「フーマーショック!」

一年で中国の食品小売業が大きく変わった

その影響から、京東集団(テンセント)、美団集団(テンセント)が020に参戦、中国の2大ECサイトの戦いが始まった

アリババvs京東(テンセント)の構図ができてきた

さらに、既存のハイパーマーケットの「大潤発」、「欧商(オーシャン)」は、アリババと提携

カルフール、ウォルマートは、テンセントと提携

 

2017年、アリババは020(オンラインtoオフライン)店舗の「盒馬鲜生」を自前でオープンさせ、世界中を驚かせた

2017年、9月の「上海特集」でも、紹介したが、リアル店舗の他に、ECはアプリで注文した商品を、店内のスタッフはピッキングして、30分以内、5km圏内に配達する 電子マネー「アリペイ」よる決済

店内の商品は、現金で買い物もできるが、フードコート、レストランでは現金、クレジットカードは使えない

中国ではこれが当たり前になりつつある

特に北京はそれが色濃い

 

盒馬鲜生の仕組み

アリババの「ECサイト」は、「天猫商城(タイパオ)」

「デリバリーサイト」は、「ウーラマ」

自前のスーパーマーケット」は、「盒馬鲜生」

「決済方法」は、「アリペイ」

「提携ハイパーマーケット」は、「大潤発」「欧尚(仏オーシャン)」

さらに、輸入品を扱った「天猫国際(Tモールグローバル)」も杭州市にオープンさせた

IT関係は専門家に任せることにして、売場、売り方、商品、外食についてレポートします

 

北京北部の店舗

車で30分ほどの郊外立地

1階部分に店舗

入口にガードマンはいないが、案内スタッフはいる

600坪ほどの大きさの普通のスーパーマーケットように見える

こんなユニークな演出も

すべてデジタルプライスカード

スマホでQRを読み取れば、商品履歴を確認できる

精肉はすべてアウトパック、トップシール D+4

調味料がセットになったステーキ

活魚コーナー

これがこの店の売り物だ!

50位の水槽が並ぶ

多い店では100位ある

活魚の持ち帰りも配送も、オーダーすれば料理もしてくれ、イートインで食べられたり、配送もしてくれる

さらに、家庭にいてもスマホで注文もできる

チルド「ミールキット」

トップシールの2段重ね

中は真空パックの食材(肉、野菜、ソース)

MAP包装ではなさそうだ

「5分で料理ができる」と書かれている

チルド、冷凍商品売場は普通のスーパーマーケットと変わらない

しかし、EC分の在庫もあるため、陳列量は多いように感じる

ドライ食品は、アイランドスタイルの陳列什器

高級食料品店を思わせる

スタッフがEC用の商品のピッキング中

右手にはスマホとバッグ

この袋を使用

色分けの理由は分からない

フックに掛けて天井のコンベアに送る

ネットのついたコンベアでバックヤードに移動

スピードは人間が歩くより少し早め

裏で待機しているバイク便の配送員

セルフレジ

商品のバーコードをスキャンして、スマホをかざして、アリペイで支払えば、そのまま外に出ることができる

そのため、有人レジのように並ぶことは少ない

店内に何カ所かある

友人レジは3台

ここも並ぶ客は少ない

実際に魚を買って料理をしてもらう

水槽から魚を選び、量って値段をつけてもらう

受付カウンターに持ち込み、料理方法を伝え、アリペイで支払う

料理ができれば機械が点滅

フードコートと同じだが、現金、クレジットカードは使えない

現金やクレジットカードを扱わない分、会計は早い

椅子に座って待つ

シャコの素揚げ ピリ辛スパイス

アワビのステーキ

作り置きの「魚のスープ」 ホットケース

作り置き「ザ二ガニ饅頭」

こに2品は別決済

会計はスマホがなければできない

客目線からの感想とまとめ

1.「EC」に対抗するためには、「体験型」「劇場型」「オリジナル商品」などと言われているが、盒馬鲜生は両方できている

2.「活魚」+「海鮮料理」=売り物

チルドの魚の品揃えはない 活魚or冷凍食品

週末ともなれば、家族連れで賑わい、テーブルは海老、蟹などの赤い料理で埋まる

3.ビックデータの活用 高鮮度、高回転で鮮度はよい

生鮮食品の在庫は4日間ほどだと言われている

4.「当日売り切り」 青果売場の葉物の一部は当日売り切りコーナーもある

5.「ミールキット」 D+4の肉を中心にしたチルドミールキット

2人前で価格は400円~500円程度

売れ方は店によってバラつきがありそうだ

6.惣菜の作り置き商品は非常に少ない

一部あっても、「チルド(5℃)」か「ホット(65℃)」、常温惣菜はごく一部

バイオーダーによるため、作り置きのロスは殆どない

7.高効率 スタッフの数は多いように見えるが、普通のスーパーマーケットに比べて効率は2倍だという

8.現場作業の軽減 ビックデータをを活用した自動発注

現場は陳列作業はあるが、発注作業はなく自動発注

値引き商品は殆ど見かけない

9.ロスの低さ ビックデータ活用で、「チャンスロス」「値引きロス」「不正ロス」は少ない

10.サービスレベル 挨拶がよくできていて好印象

ピッキングスタッフはそれほど邪魔にならない

11.バックヤード作業がないため作業員、レジ要員が少ないためローコストオペレーションができている

12.バックヤードスペースをイートインスペースに活用できる

13.物販、ECは粗利益が低そうだが、外食でマージンミックスができている

 

以上、1回目の盒馬鲜生の視察は終わり

北京、上海で盒馬鲜生を4店舗ほど視察する予定だ

見る時は徹底的に見る

 

次回は、京東(テンセント、ウィチャット)が新たに取り組むリアル店舗「7フレッシュ」の新店をレポートします