希望は見えた。だが、まだ先は長いぞ。
しろあです。
前回はこちら。
ドラゴンの繁殖を遮り、寿命が尽きるのを待てば、
いずれドラゴンは死に平和は訪れるだろう。
……そのとおりだけど、そんなに待ってられない! って思いますよね。
では村の人はどうするのか?! では続きをどうぞ。
(すでにタイトルで答えが出てるけどね)
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◇537年 6の月 毒を盛る
すべからく生物には寿命がある。
たとえどんなに長寿であれ、いずれは死ぬ。
武力行使で倒せぬならば、寿命が尽きるまで待てばよい。
確かにその通りである。
村も今の世代ではドラゴンの厄災を解決できないかもしれないが、
世代交代を行いながら、村を守っていくことで、
いずれはドラゴンに怯えずに暮らせる生活が戻ってくるだろう。
――気長な話である。もとよりドラゴンの寿命を知るものはいない。
大きな動物は寿命も長いと聞く。
80年を生きる巨大生物もいたという記録もあるらしい。
村の有権者たちが集まる会議の中で、ひとりの若者がいった。
その寿命を毒を盛り短くすることはできないだろうか?
村の近くに住む蛙の毒は、矢や槍に塗布し狩りに利用している。
果たしてこの毒がドラゴンに効くのか、どれくらいの量が必要なのか。
分からないが、分からないなりに試行錯誤をすることになった。
いつもの贄に毒を混ぜる。
しかしもしその毒にドラゴンが気づけば、口をつけない可能性がある。
食べなければ村を襲うかもしれない。
まずはあまり味に影響がないと思われる程度の少量から試すことになった。