ある寒村のドラゴン退治#8 ◇535年 12の月 勇者一行のドラゴン退治 上巻 | 白鴉(shiroa)のビバラムービー

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勇者登場! ドラゴンを倒せるか?!

 

しろあです。

 

前回はこちらです。

今回は勇者がドラゴンを倒しにやってきた!

さてその結末やいかに。まずはその前編を。

 

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 ◇535年 12の月 勇者一行のドラゴン退治 上巻

村は困っていた。
1匹のドラゴンへの毎月の贄を準備するのもやっとであったのに、
その負担が2倍になったからだ。
頼りにしていた専門家の意見は結局役に立たず、
普段楽観的な村人たちも絶望を感じ、
いよいよ村を捨てねばならぬという意見が増えてきていた。

――そこへ希望の光が訪れる。
ドラゴン退治を生業とする勇者一行がやって来たのである。

薄い刃の片手剣の扱いを得意とする戦士が主となり、
弓使いと化学術師と軽業師を従える彼らは、
ドラゴン被害を聞きつけると参上し屠ってきた。

此度も村の噂を聞きつけ、報酬を目当てにやって来たのであった。

村長は片手剣の戦士へ事情を説明すると、彼は承諾した。
そして必ずやドラゴンから村を守ると約束した。

勇者一行はドラゴン討伐の作戦を練る為、
監視役の案内に従い丘にあるドラゴンの巣を偵察した。
実物のドラゴンを目の当たりにした勇者一行は、明らかに動揺した。

大きな体躯であると聞いている。
しかしそれは誇張して語られるものだ。今まではそうであった。
勇者一行が今まで会敵したドラゴンは、ダイル種とコモド種の2種である。
ダイル種は比較的大きな部類だが、大型の蛇である。凡そ全長は2~3mであった。
コモド種は鋭い爪を持つ大型の蜥蜴である。凡そ全長は1.5mであった。
いずれも特殊な訓練を無くして退治することは難しい相手であり、
国の軍隊を派遣すれば問題はないが、小さな村では持て余す。
村人はそんなダイル種、コモド種をなんとも恐ろしき怪物として勇者一行へ説明する。
であるから、今回もその類であると簡単に考えていたのだ。

――今度の案件は訳が違う。
しかし村長はじめ、村の者たちと必ず退治すると約束し、先払いの報酬も手にしてしまった。
後戻りはできないのである。
勇者一行は腹をくくり、ドラゴン討伐の作戦を練るのであった。

数日の検討の末、作戦は決まった。
昼間に襲う。
ドラゴンにとっては眠っている時間帯だが、人間にとっては活動的な時間の為有利と考えた。
軽業師は紐を用い、罠を仕掛ける。思うように動けなければ力も存分に発揮できまい。
化学術師は油と電気棒を用意した。
軽業師が油をかけ、弓使いに火矢を放たせればドラゴンを火だるまにできるだろう。
火で焼けない生物はいない。
電気棒は素早く動きが捉えられない時に使う。感電させればうまく動けまい。
戦士は注意を引き、怪我を負わせ、じわじわと追い詰める。一番危険な役回りだ。
これに村の狩人が火矢の補助を行うこととなった。

問題は2匹いること。いかに動きを封じ、油をかけることができるか。

――ドラゴンが夜、森に潜る間に巣を中心に罠の準備が行われた。
4日間かけ、下準備を行い1日休む。
そして作戦決行の未明に罠の仕上げを行い、勇者一行と村の狩人は本番に向け仮眠をとった。

やがて正午過ぎとなった。
ドラゴンの眠りが最も深いと思われる時を狙い、作戦は決行された。