ある寒村のドラゴン退治#3 ◇535年3の月 村の対策 | 白鴉(shiroa)のビバラムービー

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ドラゴンへの警戒を強めた村は、次の対策を講じる。

 

しろあです。

はい、こちらの続きです。

ではコピペ!

 

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◇535年3の月 村の対策

 

ドラゴンへの贄を用意する案が採用されたが、ここに大きな問題が生じた。
冬用に備蓄した食料はあるが、冬に狩れる獲物が少ないこと、
監視役に労力が割かれ狩りの効率も下がっている。
人目方4人分の肉を用意するのは至難である。
幸い市との交易で資金はあり、ある程度の食料は調達できるが、
ドラゴンの問題が長期化した時に村の財が足りなくなることが予測される。

村人は日々の糧食を節約し、備蓄した村の非常食を切り崩しながら
ドラゴンへの贄は準備された。

贄の問題と同時に、早期解決を求めて村長は市へ赴いた。
ドラゴンについての専門家を要請するためである。
専門家ならばドラゴンをいかに追い払ったらよいか、
よい知恵が得られるだろう。
しかし隣国にドラゴンは生息していない。
そのため、ドラゴンが生息する地域に住む国から専門家を呼ぶ必要がある。

市も可及的速やかな対応が求められると判断し、
異国への専門家の手配に協力することとなった。

だが呼び寄せるにしてもまずは情報が必要である。
ドラゴンの生息地は北方の火山地帯の国、
北西の熱帯地帯の国など複数あるが、どこの国の専門家を呼べばよいか。
無作為に集められるほど市にも財政には余裕がなかった。

監視役の役割は重要である。
日々、ドラゴンに不穏な動きが無いかはもとより、
ドラゴンの生態に関する情報を集める任も請け負っている。
その情報によっては
ドラゴンを退治する方法は自分たちで発見できるかもしれない。

監視役は10人の男衆で構成され、輪番で任に当たっていた。
昼間は丘で寝るドラゴンを簡易的に作った物見から観察する2人、
村との中継地点でドラゴン警報を連絡するための1人。3人体制。
夜はドラゴンが丘からいなくなるため観察するものは1人。
村との中継店ではドラゴン警報を連絡するための1人。2人体制。
これをローテーションで10人で輪番していく。
ローテーションに入らない男衆は狩りを行う。
また、夜、森に消えるドラゴンを追わないのは、危険な為でもあるが、
巨躯で動きまわる為に翌日の昼間に足跡を追いやすいからである。
時折、昼間の担当が足跡を追い、その情報をまとめた。


村の労働に関しては週に1度休息日が設けられていたが、
逼迫する食糧難の対策により、男衆の休みは削られた。


――月の終わりが近づいた。
ドラゴンの丘に作った祭壇へ贄は献上された。
朝方ドラゴンは丘に戻ってくるとその贄を大方食べると、
残りは口にくわえて森の中へ消えた。
しばらくすると戻ってくると、その口には贄は無かった。
そしていつものように丘の巣で丸くなると眠りについた。

この月は村への襲撃は無かった。
作戦は成功したようである。