この坂東三十三観音霊場遊行を始める前も、日蓮宗の松葉ヶ谷霊蹟・由緒寺院の三山を参詣するために、美月と祇園山安養院の門前を何度か歩いたことがあります。
しかしながら対面に位置する日蓮宗上行寺に気を取られて、これまで安養院の境内には一度も足を踏み入れたことはありませんでした。
上行寺の不思議については、私のお気に入りブログであるchakkoro1031さんがレポートされているのでご覧下さい。
さて、安養院の山門を潜ると左手すぐに日限(ひぎり)地蔵がいらっしゃいます。
と・・ここまで書いて筆が3日間止まってしまいました。
日限地蔵の「日限」にどういう意味があるのかわからなくなったからです。
日限地蔵は各地の寺院に祀られており、それらのHPには「日を限って祈願すると願いが叶えられる」のみで、何故「日限」するのかを説明する由緒書きは見つかりませんでした。
ご多分に漏れず安養院の案内看板も同様で、「日限」して地蔵菩薩をお参りする理由がすっぽり欠落してしまっているのです。
日限地蔵と聞いて、時宗の総本山藤澤山清浄光寺(遊行寺)を思い出しました。
一遍ご上人・・本日もお元気で立たされ坊主されているでしょうか?
この遊行寺にも立派な日限地蔵がおられるのですが、案内看板を読んでも日を限ってお参りする由緒は書かれていませんでした。
例えばその日を地蔵菩薩の縁日24日だとしても限定する必然性はありませんし、現に縁日でもない日を「日限」としている寺院も多く見受けられます。
また「一年以内に吉縁がありますように」と結願する日を限定する説もありますが、参詣日に縛りを入れている寺院が大半で、どちらか区別すらつかなくなっているようです。
そこで「よし、わかった」と推論してみました。
(映画『金田一シリーズ』の等々力警部役、加藤武さんの決め台詞です)
地蔵菩薩は地獄におられて救済や代受苦など来世信仰の仏様であるため、人々が求める現世利益を叶える日が限られているからではないかと。
これが素人の浅はかさで、良源・源信以降の天台浄土教においては、疫病退散などの現世利益を平安後期から地蔵菩薩に求めていた形跡があるようです。
現在でも、とげぬき地蔵、いぼ取り地蔵、子育て地蔵、子安地蔵、延命地蔵・・「目的+地蔵」は無数にあり、まさに現世利益の権化こそが地蔵菩薩となっている有様です。
(千葉県館山市にある船形山大福寺の延命地蔵です)
そう考えると、逆に「方法+地蔵」である日限地蔵は、現世利益を具体的に示さない「オールマイティー地蔵」となり意味がわからなくなってしまいます。
どうかこの『地蔵地獄』からお救い下さる地蔵菩薩が現れることを期待しております。
宜しくお願いします。