新型コロナCOVID-19は医療先進国キューバにも上陸している。しかし、キューバでの感染者は少なく、かつ世界へも支援をしている。ファミリードクターによってスクリーニングをしているという。そして、新型コロナの治療薬であるインターフェロンアルファ2bを中国やスペインなど世界中に輸出している。そういったことは日本ではほとんど報道されない。 

 

キューバといえば、フィデル・カストロ、チェ・ゲバラに代表される1959年のキューバ革命だけでなく、医療、教育、そして有機農業、さらに、ラム酒(モヒート)、タバコ、サルサなど。また、ヘミングウェイが愛した国としても知られる。私が、キューバに関わるようになって十数年になる。もともとは、東ティモール日本文化センター(TNCC)の農業プロジェクトで、兵庫県のあ~す農場(大森晶也さん=故人)に東ティモールからの研修生を受け入れていただいたことに始まる。そしてその関係者の一人に大賀達雄さん(故人)が代表のキューバ連帯の会に参加させていただいた。その中で多くのことを知り、また、多くの方と知り合うことができた。キューバ革命の前、1953年カストロはモンカダ兵営襲撃に失敗し、投獄され、その後メキシコに亡命する。そこで、チェ・ゲバラと会う。そしてキューバ解放の戦いの中で。カストロはゲバラに政府軍でも負傷した者への治療を要請する。また、ゲバラの手紙などはユネスコの世界無形遺産に。NHKプロファイラーのチェ・ゲバラで紹介されている。私はゲバラはジョン・レノンが言うように世界で一番かっこいい男だと思っているが、特に革命が成功したあと、工業大臣になるが、休日に皆といっしょに汗を流しながら働くゲバラの表情が一番生き生きしている。ゲバラがキューバに居続けたら、もっとキューバは経済的にも豊かになっていたかも。 

 

ちなみに、あ~す農場の三姉妹は、10歳の頃、キューバが有機農業が盛んなことを知り、キューバに行きたかったと。長女のちえちゃんはキューバだけでなく、ボリビアにゲバラが殺されたイゲラ村にトラックを乗り継いで行っている。双子の妹れいちゃんとあいちゃんは、18歳の時初めての海外がキューバだった。国際ブリガーダと呼ばれる毎年5月頃世界からキューバに集まり様々な行事が行われる。また、青年の島にもーここは、収容所があったところで、また日本人も住まれている。 

 

数年前、ハバナ大学の経済研究所所長で経済学の教授が慶應大学に来られていた時、公開の講演会があり、伺ったことがある。1990年代旧ソ連の崩壊でキューバの製造業も40%下落したとか。旧態依然の社会主義キューバを思っている参加者の日本人に対して教授は現実にどう対処していくか極めて柔軟であったことを覚えている。キューバは90年代以降、フランスやスペインなどの支援を受け、観光に力を入れてきた。また、多くの分野で個人経営を認めるなど常に改革を行っている。ちなみに、以前はキューバの野球選手がアメリカの大リーグに行くには亡命しかなかったが、オバマ前大統領以降、給与の30%をキューバ政府に収めることで大リーグ参加が可能になった。数か月前、テレビ東京でと池上彰さんと松井秀喜さんのキューバ特集があったが、トランプ政権になって厳しくなり、日本のプロ野球などへの参加が増えているという。 

 

ところで、キューバに今でも米軍基地があるのをご存知だろうか。若い時、同じ塾で教えていた講師の方が、キューバに留学したことがあり、その方から聞いていたが、詳細を知るようになったのはキューバのNGOに関わるようになってからだ。1492年コロンブスによって発見され、その後スペインの植民地になる。19世紀末にホセ・マルティらによる独立運動の中でアメリカはキューバとスペインに対して戦い、勝利する。しかし、2002年5月20日に独立するがアメリカの傀儡(かいらい)政権(米国の言いなりになる)だった。ちなみにスペインの植民地であったフィリピンもホセ・リサールを中心とする独立運動の中でアメリカはフィリピンとスペインに対して戦い、勝利するが今度はアメリカが植民地に。 キューバの東南部にあるグアンタナモ米海軍基地はその時に置かれた。そして撤退の条件として双方の同意が必要とされた。よって、1959年のキューバ革命以後もい続けている。ちなみにわずかな賃貸料を米国は支払うが、カストロ政権は拒否し続けているという。マイケル・ムーア監督の『シッコ』の中にも登場する。さらに、米軍とキューバ軍との間で定期的な協議が行われているという。

 

 「寄らば大樹の陰」の日本人とは対照的だ。医療や教育、有機農業、そしてアメリカに対するスピリットなどは大いに参考にすべきではないだろうか。皆さんはどう思われますか。