修学旅行後は力尽きたように登校できなくなった息子。2ヶ月ほど学校を休み、思春期外来を受診しながら何とか3時間目からの登校を続けていた。
それが、最近は1時間目の終わりくらいには登校するようになった。
息子曰く、「具合が悪くても学校に行けば何とかなることが分かった。」とのこと。
まだ3時間目登校をしていた時期に3次考査があった。この考査は受験生にとって、内申点に係わる大事なもの。息子は吐き気をこらえて真っ青な顔のまま、頑張って1時間目から登校して考査を受けた。学校で吐かずに最後まで考査を受け、点数もそこそこ取れたことで自信がついたようだ。
吐き気をこらえながら着替えをする息子を見るのはつらかった。「大丈夫?」「送っていこうか?」言いたいことは山ほどあった。
でも、こちらからは何も言わずに見守ることにしていた。体調が整ってから登校して、受けられなかった教科は後日受けることもできる。ただし内申点はつかない。どちらを選ぶかは息子が自分で決めることだ。息子は吐き気を我慢して自力で登校し、1時間目から試験を受けることを選んだ。
後日、思春期外来を受診した時に報告したらドクターは「素晴らしいですね~。」とひとしきり褒めてくれ、その後に言った。
「あなたは石につまずいて転んでしまったけれど、その傷は治ってもう走り出しているんですよ。」
息子は一瞬ハッとしたような顔をして、うなずいた。
その頃から、登校する時間が早くなっていった。3次考査で自信がつき、ドクターの言葉が心にコトンとはまったのかもしれない。
思春期外来のドクターの言葉は端的で、核心をついたものが多い。息子が自分で気がついていない心の状態を、自覚できるように言葉にしてくれているようだ。
疲れてしまうことも、スピードダウンすることもあるだろう。また転ぶこともあるのかもしれない。当分の間は私が伴走するけれど、いずれ自分の未来へ向かって走っていく後ろ姿を見られればいいなと思う。
「もう走り出している」いい言葉だな。