
オオハクチョウのおすまし
今年もガンを発病してから28回目の白鳥の渡りが見られる季節になりました。
私は28年前の2月に「前縦隔原発-性腺外-胚細胞性腫瘍-非セミノーマ」という超悪性腫瘍に罹患して、岩手医科大学付属病院の胸部内科および胸部外科に入院しました。

オオハクチョウ・白いのは成鳥。グレーは幼鳥
腫瘍は胸骨正中切開手術で全摘をしましたが、縦隔原発の非セミノーマはきわめて予後が悪く、抗がん剤の多剤投与をして万全を期しても 、当時の医療水準では五年生存率は殆んど0%で、生存期間も最長1年で短ければ二~三ヶ月の余命というものでした。

抗がん剤はシスプラチンを中心とする4種の多剤投与で、5ヶ月間に4~5回投与をして1クールの治療予定でした。しかしその投与中にも再発を見る可能性の極めて高いものでしたから、年を越すことは勿論、その年の白鳥飛来を見ることも叶わないかもしれないという境遇でした。

盛岡市・晩秋の高松の池
私は抗がん剤を、1クール4~5回の内の1回を受けただけで、投与をやめてもらい退院しました。もちろん投与の拒否については、医師と十分に忌憚のない話し合いをしました。私にはある重大な決意があったので、以後ガン治療としては現代医学の療法は一切受けませんでした。 再発を危惧しつつ夏が過ぎ、初秋が過ぎて、晩秋の白鳥の飛来の時季がやってきました。私もまだ生きていました。この時季、白鳥はやや高く昼夜を問わず私の家の上を、互いに鳴き交わしながら渡って行きます。

9月上旬、東シベリアの明るいタイガの広大な池沼群を飛び立った白鳥は、スタノボイ山脈を越え、シホテアリン山脈を越えてサハリンを通り、イーハトーヴの首都モリーオにやってきます。シベリアは彼らの夏の離宮、イーハトーヴは彼らの冬の離宮、そして大空こそ彼らの翼の大宮殿。
白鳥・動画
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