九年前のちょうど今ぐらいの時間に病院から「お父様が危篤です」と連絡があり、急いで入院していた病院に行ったが、父は既に息を引き取っていた。

詰めて聞くと、病院側から電話が来た時には既に息を引き取っていたようだが、下咽頭癌ステージ4・食道癌ステージ2の重複癌で2年が経過し、肺転移・脳転移もあったことから、むしろよく延命出来た方かなと思い、特に病院に何か言うことも無かった。(この辺が冷静な人間(私)の嫌な部分)

亡くなった父の手を握ってみると、まだ温かく、死後1時間ぐらいだと体温もこれだけ高いのだと思った記憶がある。(5時間程後にまた手を握ってみたが、その時はすっかり冷たくなっていた。)


父は感情的で暴力的な人だったので、父に対する思いは複雑で、死後9年経っても整理はつかない。感謝している部分はもちろんあるが、憎く思う部分の記憶も拭えず、複雑である。


「家族」ってそんなにシンプルに「良いもの」とは思えないよなぁというのが自分の偽らざる気持ち。そんな気持ちを代弁してくれているような作品が天童荒太さんの「家族狩り」。自分にはとてもしっくりくる内容で、家族に対して複雑な感情や窮屈な感情を抱いている人は是非読んでもらいたい。


「家族」って難しいよね〜。そもそも「人間」自体が難しい。