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神戸新聞NEXT 8/27(月) 11:00配信


「若いがん患者に妊娠・出産の道が開かれることを願い、兵庫県議会で6月に可決された意見書。きっかけとなったのは、県議の前田朋己さん(38)=神戸市東灘区=の妻で、3月に亡くなった弘子さん=享年(25)=の無念だった。(前川茂之)


弘子さんは大学在学中の2012年に肝臓がんと診断された。当時19歳。「余命は半年」と宣告された。摘出手術を受けたが、肺への転移と肝臓がんの再発が見つかった。

 それでも諦めなかった。14年に開設したブログに「大切な大切な人々のために、皆を悲しませないためにも、私は、絶対に生きます。絶対に希望をなくしません」とつづり、出演した生命保険会社のCMでは「がんになって『いい子』をやめました。誰かに認めてもらわなくても何かを成し遂げなくても、ただ生きていることに価値がある。自分らしく生きていく」と力強く語った。

 闘病生活の中でも大好きな海外旅行を続け、30カ国近くを訪れた。昨年6月、交際していた前田さんと結婚式を挙げた。旧姓の山下弘子名義でブログ発信や出版を続け、その生き方は多くの人の共感を呼んだ。

 だが、母親になるという夢だけは、どうしてもかなわなかった。昨年暮れ、凍結保存に向けて卵子摘出を望んだ弘子さんに、医師は「あなたはもう無理です」と告げた。生殖機能に影響する可能性がある抗がん剤治療を、弘子さんは既に5年近く受けていた。

 「子どもがとっても欲しかった」と泣きながら訴える弘子さんを慰めながら、前田さんは「治療のリスクを、がん診断から5年後に知らされたことに驚いた」と唇をかむ。

 県議会の意見書では弘子さんの経験を踏まえ、医療従事者による情報提供の徹底と相談支援、生殖機能を温存するための経済的支援を国に求めた。前田さんは「妻のように悲しい思いをする人が一人でも減ってほしい」と話している。」


なかなか難しい問題だと思う。19歳で余命半年と告げられたとすれば、おそらくがんはステージⅣ。そこで主治医が考えるのは、まずは患者の延命。治療が奏功すれば、治癒。その時点で生殖機能を温存しなければと発想するのは難しいのではないかというのが個人的感想。


生殖医療が進歩していく中で、がん専門医やその他医療従事者がどこまで生殖医療について知っておくべきか。抗がん剤を投与する際にどのリスクをどこまで説明すべきか。その説明に要する人的・時間的リソースがあるのか。


検討すべき課題は多いが、わが国政府は、そのような課題を検討する、対応する意思がそもそもあるのか。問題は山積み。