昨日、横川シネマで『世界征服やめた』を観た。
『君の膵臓をたべたい』(2017)や『東京リベンジャーズ』シリーズ(2021・2023)等でイマをときめく北村匠海が自身の人生に多大な影響を与えたという同名楽曲をベースに自ら企画・脚本を手がけ、そして初監督した短編作品。
平凡なサラリーマンとして鬱々としながら日々を過ごす彼方(萩原利久)と、お喋りでやたら陽キャの彼方の同僚・星野(藤堂日向)。対照的な性格の2人だが、よくつるんでいた。そんなある日星野がある行動を起こしたことで、彼方は自身の人生と向き合うことになる。
北村匠海は今回カメラの前には立たず監督に専念していたが、結構実験的な手法で、エキストラの演出の仕方が独特。冒頭の通勤シーンでは彼方と星野以外は歩くポーズのままフリーズしていて、書類を落とした彼方が書類を拾っている時誰も立ち止まって手伝わない挙句、拾っている書類すら踏みながら通り過ぎて行く。彼方の孤独感と周囲の無機質感を強調した演出なのだろうが、それにしても極端なまでに異様なシーンであった。
正直勢い余ったところがあるし、ラストも切ない余韻しかないが、20代の若者なりのありったけな表現で全力で撮ったんだなと思った。