毒娘 | 知らずに死ねぬ程のものではない

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元映画暴食家最近はロコドルイベント通いがメインで、カメコのはしくれ。引退しても渡辺麻友推し。映画は時々観ている。最近は小説に挑戦している。

昨日、広島バルト11で『毒娘』を観た。

 

 

 

『先生を流産させる会』(2011)、『お兄ちゃんに近づくな、ブスども!』(2012)の内藤瑛亮監督最新作。

 

ホラーの王道というべきとある一軒家で起きる惨劇モノであったが、本作で描かれたのは、平穏な家族の中に隠された欺瞞とヤミ。それが家に出現するちーちゃんと呼ばれるハサミを持った不気味な少女による脅威に翻弄されることで露呈して行く。

 

内藤監督はスプラッタホラーを撮ることが多いけど、元教員ということもあってか何処か理性的な作風だなという印象。特に長編デビュー作『先生を流産させる会』は、中島哲也監督『告白』(2010)に対する意識的なアンサー作品なのではと僕は考えている。因みに僕は、両作共傑作だと思っている。

 

本作のちーちゃんはホラー映画における“モンスター”のポジションになるのだろう。虫の死骸で毒薬を製造する物騒な能力を持っていて、リア充家族に対する憎悪も凄まじく、行動一つ一つは常軌を逸しているが、内藤監督はちーちゃんを決して“モンスター”としてではなく、根本的に友達を求めている孤独で寂しい少女として描いていた。実際、萌花との交流シーンはエキセントリックではあったけどちーちゃんはとても愉しそうにしていて、微笑ましさを覚えた。そういやちーちゃんの両親が前半ちょっと登場したのだが、この両親の態度が見るからに異様過ぎ。あれじゃ、ちーちゃん歪んで当然だな。

 

ちーちゃん役を演じたのは、伊礼姫奈。『劇場版 推しが武道館いってくれたら死ぬ』(2023)での舞菜役から一転、ボサボサロングヘアーで敢えて美形フェイス隠しまくりの振り切った怪演は凄味があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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Ameba映画部