昨日の日曜日。思い切って「能古島国際映画祭2023」に行ってきた。
今回のイベント現場である能古島国際映画祭は、福岡県福岡市の博多湾に浮かぶ能古島で前年から開催されたショートフィルム上映とステージのイベント。島で開催される映画祭イベントに足を運ぶことにしたのは、ここで“未来の巨匠”愛純百葉ちゃんの監督作品または主演作品が計5作品上映されるからだ。これは観に行かないとスクリーンで観る機会はこの先滅多にないと思ったので。
JR山陽新幹線博多駅で降りて西鉄バスに乗り、能古渡船場まで約40分以上。
能古渡船場で乗船券を往復購入。フェリーに1人で乗るのは久々。
フェリーに乗って、能古島へ。
能古島が向こうによく見える。
能古島には10分で着いた。だがここからバスで更に10分かけて些か狭い坂道をクネクネとゆっくりと上って行き、ようやく目的地であるのこのしまアイランドパークに到着。
チケットはメールの取り置き予約で手に入れた。
会場に向かう際、花園を通った。映えるなと思った。
思いで通りは、レトロに溢れていた。
メイン会場の広場で、12時半にオープニングセレモニーが行われた。会場の背景は、見事な程青々とした空と海。高台が会場だからこその風景だ。
進行役を担当したのは、福岡のロコドルユニット、青SHUN学園の木戸怜緒奈ちゃん。
授賞式が行われた。
『15歳の小説』で受賞した江口寛武監督。SAGA SHORT FILMを主宰し、映画監督、プロデューサーのみならず、子供と学生を対象に未来の映像作家育成のための映画制作ワークショップも開いていて、佐賀の自主映画界を代表する存在。そして、ももはちゃんの実父である。
そしてももはちゃんが映画監督としてステージへ。
授賞対象となったのは、監督第2作『リトルマザー』。
受賞者達。
こちらがこの日の昼食。ウズベキスタンのピラフ(プロフ)らしい。美味であった。
セレモニーが終わり、サブスクリーンでの上映開始。上映会場は4ヵ所。僕はその会場の1つ、わらべ館へ行った。ここではももはちゃんの監督2作品と出演2作品も含む10作品が上映された。
最初に上映されたのは『回復タイム』。水木一郎ばりの赤のレジャージャケットを着た男が傷だらけになりながらも身体を張ってヒーローするハナシ。ちょっとコミカルであるが、ラストは中々カッコ良かった。
3話オムニバスの『教室の空・暗闇・未来をかえる私たち』、こども探偵団のメンバー達が謎の怪人と戦う『大牟田こども探偵団』、仲良しの女の子2人が些細なことからケンカして仲直りする『FRIENDS』の3作品は、2023年5月に開催された体験型プログラム「大牟田こども映画学校」の一環として制作されたものであった。
このプログラムに参加した子供達がA班、B班、C班に分かれて企画・製作・脚本・編集・監督・出演の自作自演したものとのこと。子供でないと思いつかないであろうブッ飛んだ発想、そしてピュアな感性が溢れていて、なんかホッコリさせられた。
『My Sister』は、感じることを要求される良くも悪くも自主映画らしい作品であった。
『地元の能古島の特産物のブランド甘夏』は、福岡女子高校が能古島特産の甘夏の規格外モノを廃棄せずなんとかしようと立ち上げたプロジェクトに関するプロモーション作品であった。これはスゴく意義があるプロジェクトだな。
ここからは、ももはちゃん関連作品。
『私に見えている世界』は、2022年に発表されたももはちゃん初監督作品。製作からもう1年になるのか。
最初に観た時はYouTubeであったが、やはりスクリーンで観た方がイイな。繊細で丁寧な作り方をしているなと改めて思った。
当時のKUWAGATA☆KIDSメンバー達が出演していて、現在はフリーとなったリリーちゃんのヒロインオーラはイマ観てもハンパでない。両親と一緒にキャリーバッグを引っ張りながら駅に向かう俯瞰ショットは本作で一番好きなシーンだ。
『あめとひなた』は、江口寛武監督が2021年に撮った作品。こちらはDVDを所有している。江口監督は『音と風の夏休み』(2018)もそうだけど、心理描写が繊細で上手い。
ももはちゃんは脇役で出演。本作発表当時佐賀乙女みゅー☆スターとして一緒にアイドル活動していた七海りのんちゃんとのコンビでコメディリリーフ的な役割を担っていた。劇中のダンス振り付けも手がけていた。
『15歳の小説』は、江口監督の最新作。夢を題材にしたダークファンタジー仕立てのサイコミステリー。『世にも奇妙な物語』のノリに近いかも。
シリアスな作りなんだけど、何処かちょっと微笑ましい。江口監督の過去作『ちゃばにずむ☆とらっぷ』(2017)的な要素も若干あったかな。敢えてなのか、ラストはやや唐突感。
そして『リトルマザー』。ももはちゃん待望の監督2作目。タイトルとなった“リトルマザー”は、母親代わりの娘という意味らしい。
前作に続き自ら出演したももはちゃんが今回演じたのは、母親を亡くしたため小学3年生の妹ユウカの母親代わりとなっている中学3年生の姉・レイカ。だがちゃんとした“母親”になろうと気負い過ぎて、いつしかユウカを厳しく干渉して監視するといった行動を取るようになり、ユウカは自分の生活を支配するレイカに息苦しさを感じていた。そんな時ユウカは、レイカと同じ中学校に通うミサキと出会う。
ミサキは数学の成績に悩むユウカを自宅に招き、まるで“姉”のように親身に勉強の面倒を見る等して交流するようになるが、レイカはユウカがミサキと頻繁に会っていることに気づき、ミサキを敵視するようになる。レイカもミサキもユウカのことを可愛くて放っておけない点では同じでレイカ自身もそれを分かっている筈だが。これはミサキに対するジェラシーも多少入っていたのかな。
ところで本作で気になったのは、レイカ&ユウカ姉妹の父親が不在であったこと。単に画面に登場しないだけなのだろうが、おそらくレイカにとって父親とは生活費を出す存在でしかないのだろう。だから父親が本作に登場する必要すらなくなっているということか。
ユウカ役を演じたのは佐藤凛花ちゃん、好演であった。そして可愛かった。ユウカと交流するミサキ役を演じたKanocoちゃん。実はももはちゃん監督作出演は「いのちを支える動画コンテスト2023」出品作品だった『あなたの勇気で支えてほしい』に続き2度目。前回は孤立していたところをクラスメイトのももはちゃんに救われていたが、今回はももはちゃんに一方的に嫌われる役柄で、ももはちゃんとKanocoちゃんの対峙シーンは緊迫感があったな。
本作で一番印象に残ったのは、やはりももはちゃんが珍しく威圧的なキャラを演じたこと。これは女優としての新境地なのではと思った。なおももはちゃんは本作での演技を評価され、TBS主催の映像コンテスト「25th DigiCon6」ではベストアクター賞を受賞している。
もう一軒のサブスクリーン上映会場、島やにも足を運んだ。
『IMPERIAL 大阪堂島出入橋』は、三島有紀子監督が2022年に撮った短編。三島監督にとって思い出深かった洋食屋「インペリアル」が閉店したことをきっかけに撮った作品だそうで、佐藤浩市が「インペリアル」シェフを演じていた。それにしても、あの長回しは凄まじかった。
『飛躍~新しい文化の創造に萌える~』は、起立性調節障害を抱えながら国体に出場する女子新体操選手にスポットを当てたドラマシーンもちょっと入ったドキュメンタリー作品であった。本作の内容よりも本作に出演した新体操選手達が会場にワンサカ来ていて、妙に賑やかだった印象しか残ってない。
『キーワードX~海を走る光~』は、日本滞在が長くなり、いつの間にか目的を見失った中国人留学生の女性が原点である能古島へ一人旅するハナシ。本作のヒロインは誠実だなと思う。中には何等かの思惑から日本に来ている外国人達がいたりするからね。
『サプライズ/Surprise』は、サプライズを目論んだら思わぬ展開が起きてしまうドタバタコメディであった。
ラストに観たのは、『こどもばんぱく』。2021年の作品。2年前の作品でスクリーンで観るのは2度目であったが、正直懐かしいなと思った。コロナ騒動での自粛ムードでヒマを持て余したため本作のクラファンに参加したので、エンドクレジットでは僕の名前が小さくクレジットされていたりする。改めて観て、改めてイイ作品だなと思った。ももはちゃんも小杉ゆんちゃんも素晴らしい。
メインスクリーンも観ようかなと思ったが、帰り時間的にヤバそうだったので、17時過ぎに会場を後にした。まあ、ももはちゃんの映画全てをスクリーンで観たので、目的は果たした。
今回初めて行った映画祭。欲を云えば、上映環境がちょっとイマイチだったかな。集中しにくい時があったので。でも愉しかったから、まあいいか。