“それ”がいる森 | 知らずに死ねぬ程のものではない

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元映画暴食家最近はロコドルイベント通いがメインで、カメコのはしくれ。引退しても渡辺麻友推し。映画は時々観ている。最近は小説に挑戦している。

ついこの間になるが、109シネマズ広島で『“それ”がいる森』を観た。ちょっとネタバレっぽくなるので、なるべく観てから読んで下さい。

 

 

『リング』、『仄暗い水の底から』の中田秀夫監督最新作である。

 

予告こそはおどろおどろしいカンジになっていたが、いざ中身を観たら、往年の少年ドラマシリーズチックなベタ過ぎるストーリーに敢えて刺激の強いホラースパイクを加えてみたら、妙な食感になったというカンジの作品で、やはり酷評されまくっているようだ。タイトルとなった例の“それ”は結構あっさり出てきたが、“それ”をみた印象は『プレデター』かよと思ったな。

 

中田監督はJホラーの印象が強くなっているけど、ホラー演出が一番よかったのは『リング』だけだったな。後はどんどん下手になってきている。

 

中田監督作品は個人的にはピンク映画を長年撮ってきた中田監督の師匠・小沼勝監督の半生にスポットを当てたドキュメンタリー作品『サディスティック&マゾスティック』(2000)が良作だと思ったし、あと舘ひろしが定年退職したばかりの元エリート銀行マンを演じ、セカンドライフで空回りする様を諧謔的なユーモアを交えて描いた『終わった人』(2018)も中々の出来であった。

 

嵐の相葉雅紀は映画主演がジャニーズJr.時代の『新宿少年探偵団』(1998)、『MIRACLE デビクロくんの恋と魔法』(2014)、そして本作で通算3作目なのだが、ヘンな映画ばかり出ているなという印象。今回初の父親役を演じていたが、息子とウマくコミュニケーションが取れないヘッポコな父親が妙にハマッていた。

 

妙ちくりんな本作であったけど、感銘を受けた部分はあり、それはジュブナイルモノとしての基本がしっかりしているところだ。とりわけ命の危機に晒された子供達を教師達が身体を張って必死に助ける場面があり、コロナ騒動で子供達に運動中でもマスクさせたり給食は黙食等我慢を強いてばかりで結果的に成長する機会を奪っている現実の教師達には見習って欲しいなと思った。

 

ところで本作には相葉の息子のクラスメイト役で桃山こまちちゃんが出ていた。これが映画デビューとのこと。こまちちゃんはKIDs☆FES常連だったことがあり、最近では岡山歌っ子すずちゃんの生誕ライブにゲスト出演したのを観てきたので、そんなこまちちゃんがスクリーンの中で演技しているのは、正直、不思議な気分であった。

 

今回亜美という役名が付いていて出番はそこそこあり、セリフもちょっとあった。以前長かった髪がショートボブになったのは、本作の役作りのためだったようだ。

 

こまちちゃんの次回作に期待したい。