渡辺麻友という才能を失った芸能界 | 知らずに死ねぬ程のものではない

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元映画暴食家最近はロコドルイベント通いがメインで、カメコのはしくれ。引退しても渡辺麻友推し。映画は時々観ている。最近は小説に挑戦している。

まゆゆこと渡辺麻友の引退からはや2週間。

 

とあるブロガーは、指原莉乃が残って麻友が去ったのが勝負の現実だと無理に冷静ぶって分析しているが、もっと素直になれと云いたくなるね。

 

あの総選挙自体、指原を大物に見せるために仕立て上げられた感が露骨だったし、集客目当てのために麻友を当て馬にし続けた。本当は2015年の時点でAKB48を卒業したがっていたにも関わらず。

 

だから麻友ファンの誰もが最後の2年間を問題にしている。

 

もし、麻友が2015年で卒業していたら、と。

 

まあ、僕の場合は「UZA」での麻友センター降格の件から、運営に対して不信感を持っていたのだが。

 

AKB48が2005年に立ち上がった時、なりたい夢を実現するための踏み台であることがコンセプトの一つだったし、麻友が在籍していたteamBが円陣を組む時にも「みんなの夢が叶いますように!」という口上で締めていたし、麻友の卒業ライブもその口上をライブのタイトルに冠していた。

 

11年間アイドルを全うした麻友が夢に選んだのは、女優であった。『マジすか学園』シリーズのネズミ役をみた者ならば、この選択はやはりだなと思う。

 

そもそもアイドルという虚構を完璧なまでに演じ続けてきたのだから、演じることこそが天職と思ったのだろう。

 

卒業後の最初の仕事がミュージカル「アメリ」だったのは、歌い手としてのポテンシャルの高さと演技力の高さを兼ね備えた麻友にはドンピシャリであったし、更に麻友が熱中していた宝塚の座付き演出家だった方が演出を担当していたという幸運。千秋楽を観劇したのだが、カーテンコールでのフリートークで見せたチームワークの良さと麻友が可愛がられていることがよく分かるほっこりムードが印象的だった。

 

初主演ドラマ『さばドル』の時もスタッフやキャスト達が礼儀正しい麻友のことをスゴく褒めていて、おかしなバッシング記事が出た時はメイン監督が真ッ先に反論して麻友を擁護したことがあった。そうさせる魅力が麻友にあるということだ。

 

残念ながら、炎上路線を拗らせた運営は麻友を大事にしなかった。麻友の人気を心身を消耗させるまで利用しただけだった。

 

利権の産物に成り下がった総選挙で無理やり当て馬役を強いられたことで、金をつかわせること勝負することへのトラウマが麻友に芽生えたとしても不思議ではない。

 

朝の連ドラ『なつぞら』に出演して、広瀬すず演じるヒロイン・なつの同僚アニメーター・茜役を演じ好評を得たのだが、それは確かに嬉しかったけど、中には麻友を褒めまくっている時は大抵すずを誹謗中傷するためで、結局ダシなのかよと思った。こんなのを麻友が読んで嬉しいワケがない。想像力の欠片がないというか、単なる贔屓の引き倒しでしかなかった。

 

もしかしたら、こういうのも麻友を追い詰めた要因の一つかもしれない。

 

麻友引退後、AKB時代の盟友達や後輩メンバー達、麻友と一緒に仕事をしたことがある方達や大御所タレントからのコメントが色々寄せられ、麻友の心優しくて礼儀正しい人柄や仕事に対する高いプロ意識がかなり脚光を浴びている。

 

こういう麻友関連記事を多く目にする度、麻友の素晴らしさを再発見すると同時に、喪失感の大きさを感じる。

 

イマTVに出ている者達は、マガイモノばかりだ。

 

大して魅力も実力もないマガイモノ達が、大物のフリしてドヤ顔している。そういう大物ぶったマガイモノに限って、文春砲一撃であっけなく撃墜される。

 

一昔前だったら、不倫疑惑をすっぱ抜かれた某俳優が司会していた番組ハプニングばかりを取り上げらた番組にて「最近私生活でハプニングがありまして(テヘ)」ってカンジで軽く自虐ネタで済ませていた事柄であったが、今や犯罪をおかしたのと同じ扱いだな。

 

麻友のプロ意識をあたかもイデオロギーという文脈で語ろうとする者がいるが、あれはイデオロギーというよりもエンターテイナーとして当たり前の矜持ではないか。私生活を安売りしない点も含めてね。これは志村けんの矜持に近いものではないか。志村もお笑いに対してスゴくストイックな姿勢で取り組んでいた。

 

志村けんが亡くなった時の喪失感は計り知れなかった。

 

麻友の引退もまた、芸能界にとって思った以上に大きい損失だと思う。あれだけの才能をもっと花開かせたかったという無念さ。

 

幸いなのは、麻友はまだ26歳で生きているということだ。

 

幸せな日々を送って欲しいと思いながら、その気になったら、再び表舞台に出て欲しいとも思っている。

 

それはあくまで麻友次第であるけれど。