田村正和。 | 知らずに死ねぬ程のものではない

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元映画暴食家最近はロコドルイベント通いがメインで、カメコのはしくれ。引退しても渡辺麻友推し。映画は時々観ている。最近は小説に挑戦している。

田村正和 声聞こえない…引退宣言の陰で囁かれていた体調不安
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田村正和が事実上の引退宣言をしたようだ。

 

長らくTVドラマで主役スターとして君臨し続けてきたマサカズも気がつけば、74歳。近年は独特のボソボソボイスがシャレにならないくらい聞き取りにくくなったし、ヨレヨレ感もかなり気がかりだったので、自身もこれが潮時と考えたのだろう。

 

戦前戦後に活躍した銀幕スター“バンツマ”こと阪東妻三郎の三男であり、兄に田村高廣、弟に田村亮がいて田村三兄弟として知られていたが、その中でも一番の2枚目にして父親のスタア性を最も受け継いだのは、間違いなくマサカズであった。

 

ただ映画ではこれといった実績を残せたとは云えず、TVドラマに活動の場を移してから、ようやく芽が出た。「眠狂四郎」シリーズがその頃の代表作なのだろうが、これに関しては未見。

 

因みに僕がマサカズのことを本格的に認識したのは、「うちの子にかぎって…」(1984年)での個性の強いガキンチョ達に振り回される石橋先生役からだ。

 

 

以降マサカズ主演ドラマがほぼ途切れることなく制作されていたと思う。

 

その中でも「パパはニュースキャスター」シリーズ、結構好きだったな。マサカズが演じた鏡竜太郎は普段硬派なニュースキャスターなのに、酒に酔うとすぐに女に「もし娘に名前をつけるなら、愛情の愛と書いて“めぐみ”」という決めゼリフで口説いてはホテルでベッドインする筋金入りのプレイボーイ。ある日同じ名前の3人の「愛」が突然押しかけて住み着き、彼女達に散々振り回されるハナシだった。

 

 

このドラマは好評で、3人の「愛」を演じていた西尾まり、鈴木美恵子、大塚ちかが成人するまでシリーズが続き、完結編ではマサカズがうっかり娘の大塚ちかをあの決めゼリフで口説くシーンが出てきたのは微笑ましかったな。おそらく3人の中で大塚ちかが一番美人に成長したので、こういうシーンが作られたのだろうと思う。

 

 

そしてやはり、マサカズ最大の当たり役といっていい、「古畑任三郎」シリーズ。マサカズ演じる古畑のキャラ立ちっぷりが素晴らしかったが、毎回大物が犯人役でゲスト出演してマサカズと演技合戦するところも面白かったな。

 

 

マサカズの引退宣言により、これで「古畑任三郎」の新作はないんだろうなと思うと、寂しくなるな。

 

ここからは、レア過ぎるマサカズをどうぞ。

 

 

まずは、広島をオールロケした『記録なき青春』(1967年)から。亡き伯母(母の一番上の姉)が撮影現場を観た事があったそうで。マサカズが原爆症に身体を蝕まれて行く被爆者二世の青年を演じた胸が痛くなる映画だが、マサカズの広島弁セリフはレア。映像文化ライブラリーの原爆特集で度々上映される。

 

 

『黒薔薇の館』(1969年)。深作欣二監督が『黒蜥蜴』(1968年)に続き美輪明宏と再びコンビを組んだ映画に、美輪の相手役としてマサカズが出演。深作監督の追悼上映で観たが、この当時のマサカズは及川光博っぽかった。

 

 

『女囚さそり 701号怨み節』(1973年)。梶芽衣子が松島ナミを演じた「女囚さそり」シリーズに、マサカズは左翼青年役で出演していた。三角マークでお馴染みの東映作品ということもあってか、こんなギラギラした役柄のマサカズは珍しかった。

 

 

「明智小五郎対怪人二十面相」(2002年)。マサカズとビートたけしの夢の競演。マサカズの明智小五郎役は想定内だったが、たけしの怪人二十面相役は斬新だったな。

 

 

「地方紙を買う女」(2016年)。我等がまゆゆこと渡辺麻友との共演。実はマサカズがAKB48の「恋するフォーチュンクッキー」がお気に入りだったようで、当時AKBのエースだったまゆゆの抜擢はマサカズたっての希望とのこと。

 

 

最後にマサカズが唯一リリースしたレコード。マサカズの貴重な歌声はこちらでどうぞ。↓

 

 

明らかに歌わされた感ありありだな(笑)。貴重な音源ではありますがね。