一層実験映画的領域に踏み込んだ(!?)、『プリキュアドリームスターズ!』。 | 知らずに死ねぬ程のものではない

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元映画暴食家最近はロコドルイベント通いがメインで、カメコのはしくれ。引退しても渡辺麻友推し。映画は時々観ている。最近は小説に挑戦している。

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昨日、T・ジョイ東広島で『映画プリキュアドリームスターズ!』を観た。

 

今までは歴代プリキュアが勢揃いしてのプリキュアオールスターズが春恒例であったが、10年以上もシリーズを重ねているだけに全プリキュア達に見せ場を与えることにさすがに限界を感じたのだろう。今回から前作、前々作の先輩プリキュアと新プリキュアの3組が力を合わせて戦うスタイルになった。尤も近年のオールスターズの段階から、実質的そういう形になっていたが。

 

今回のメインである『キラキラ☆プリキュアアラモード』は、スイーツを一生懸命作りながらプリキュアとしても頑張るというカンジで、劇中に登場したスイーツのレシピと作り方が番組の最後に紹介されるところが新機軸で、初回ではなんとスイーツを作る手元の実写映像まで流れたことがあった。これは今までのプリキュアシリーズではなかったことだな。

 

さて今回の『ドリームスターズ!』でもこれまた大胆な演出をやっていて、映画版でお馴染みのミラクルライトの出番が今回やたら多く、ゲストヒロインのサクラが度々観客のいる世界にやってきてはミラクルライトを観客達に使うことを呼びかけるシーンがあり、途中から悪役が観客のいる世界の存在に気づき乱入(!)しようとして、プリキュア達がそれを必死に阻止するシーンまであった。

 

こういうシーンがあるってことは、もしかして企画の段階では“乱入”サプライズも検討されていたのかな。だとしたら、往年の寺山修司監督による実験映画『ローラ』(1974年)みたいなことを幼児向け劇場アニメでやろうとしたことになるな。

 

まあ、ミラクルライトを振ってプリキュア達を応援して下さいと呼びかける手法自体、昔“世界のクロサワ”こと黒澤明監督が戦後に撮った『素晴らしき日曜日』(1947年)が元祖ですからね。

 

今回の映画版の演出を担当したのは、宮本浩史監督。キャラクターデザインも兼ねていて、TV版プリキュアシリーズのエンディングのCG映像によるプリキュアダンスの演出をずっと手がけてきたお方のようだ。それもあってか、CGがふんだんに効果的に使われていた。

 

演出手法ばかり書いたが、ストーリーも中々よかった。孤独な少女だったサクラと狼の身形だが母性あふれる雫(演じるは、木村佳乃!)の絆の描き方、明るいけど母に中々会えない寂しさを抱えているヒロイン・いちはがサクラに寄り添ったり、時に叱咤するところが印象に残った。美山加恋が今回キュアホイップこといちは役に抜擢されたのは、このシーンのためなのでは、と思ったね。

 

ところでイケメン過ぎるキュアショコラことあきらもインパクトあったが、演じる森なな子は元タカラジェンヌ。だからあんなにオトコマエな台詞回しがウマかったのか。