正直に云えば、僕はぶっちゃけトークが嫌いではない。
だけど好きでもない。
楽屋オチや現場の裏話は芸能人やアスリートの素顔の人間味やリアルな交友関係を知ることが出来て愉しくもあるし笑わせてもらったりするが、それはあくまで映画におけるメイキングビデオやDVDにおける特典映像レベルに留めるべきことであって、それをメインにするのは違うと思う。
アスリートのぶっちゃけトーク番組は『ジャンクSPORTS』が先鞭をつけたのだろうが、あれはまだアスリートに対する敬意はあった方だ。
現在のぶっちゃけトーク番組は、アスリート達に視聴者が面白がれるトークを強いているのではないか。
だから云わなくてもいいことまでぶっちゃけてしまう傾向になっているのだと思う。
芸能界の楽屋オチトークも行き着くところまで行った感があるので、今度はアスリートというのが現在のTVバラエティなんだろうね。
これを僕は“面白がりイデオロギー”と呼んでいる。
そんなに面白がることが正義なのか、と。
面白がりの弊害は僕が応援しているAKB48にも及んでいて、去年の総選挙の結果はまさに面白がりがもたらしたものであった。
あれ以来推しメンのまゆゆこと渡辺麻友は、この面白がりイデオロギーが蔓延したAKBでサバイバルを余儀なくされている。
『めちゃめちゃイケてる!』で加藤浩次相手にリアリティコントを繰り広げる番組限定ユニット「極楽まゆゆ」は、そういった中から生まれた副産物といっていい。
だが『めちゃイケ』で唯一あくまで茶番であることをワザワザ種明かしする「極楽まゆゆ」は番組側の配慮もあるだろうが、アイドルがバラエティに挑戦しているに過ぎないという部分も見せることで面白がりイデオロギーに完全屈服していないことをまゆゆがアピールしているようにも思える。この辺に僕はまゆゆのアイドルとしてのプライドを感じてしまうな。
メデューサ魔幽々13世というキャラにしても、まゆゆが王道アイドルをやっているからこそ成立したものだ。
AKBは何でもアリなところに魅力はある。だが面白がり一辺倒となって、全てのメンバーにそれを強いる風潮は間違っていると思う。
今年の総選挙は、打倒、面白がりイデオロギーでもあるのだ。