今回の天塩訪問の目的の一つは、旭川在住の私の中学時代の恩師阿部国良先生からの依頼で、天塩中学校に寄贈した先生の絵の写真を撮ることでした。結論を先に申し上げると、無事目的の一つを達成しました。
さて、豊富温泉で旅の疲れを癒した翌朝、天塩に向かって海岸沿いを南下。
途中のオトンルイ風力発電所の風車群です。
天塩川を渡って天塩の町へ。
懐かしいけど寂しい街並みです。人影がまるでない。
私たち家族が住んでいた50数年前は人口1万人の活気ある町でしたが、今は鉄道も廃線になり、人口は3千人にまで減ってしまいました。
廃屋に咲くタンポポ。
オダマキ。
主人のいない家で可憐に咲いています。
天塩中学校
応対に出てくれた先生の若いこと!(当然ですよね)
土曜日でしたが、バスケット部の女子中学生たちが掛け声をかけながら廊下でトレーニングしていました。別の部屋ではブラスバンド部の練習。そういえば私も中学時代ブラスバンドをやりたかったのですが、そもそも学校に楽器もブラスバンド部もなくて諦めたことを思い出しました。
中学校に活気があれば町もまた発展のきっかけをつかみとっていくに違いありません。
若い先生がブログの冒頭の絵とは別にもう一枚阿部先生の絵があることを覚えておられて、持ってきてくれました。それも写真に撮ることができました。大収穫。良かったです。
天塩川の河口にある鏡沼公園へ。
ここにも天塩を応援してくれる人がいました。
美深でお会いした松浦武四郎です。
蝦夷人の
みそぎなしける天鹽川
今宵ぞ夏の
とまりをばしる
ながむれば
渚ましろに成にけり
てしほの浜の
雪の夕暮
午後時間があったので、中学同級生の長瀬さんの経営する牧場を見学に行きました。
天塩の中心部から東に車で15分ほど。白い帽子をかぶった緑のサイロが目印です。
牧草を刈り取りそれを丸めてビニールをかぶせるまで全て自動でやる機械。全長25m。クローネという外国製の機械で、一旦故障すると部品も手に入りにくく、直すのが大変ということで、「ゴクローネ」と呼んでいる由。私たちが行った時も長瀬さんは懸命に修理作業中で、この機械を駆使する彼の勇姿を見ることができませんでした。残念。でもこんな機械を自分で直すなんてたいしたものです。
息子さんが作業をしているところに猫が…。
サイロも近くで見ると大きいです。
その晩、私の天塩訪問に合わせて、10人の天塩中学校同期生が集まってくれました。私たち夫婦を入れて12人。場所は街中のお寿司屋さん。何人かは昨年同じ時期に来た時に会っていますが、ほとんどは中学時代以来の再会でした。当然のことながら年はとっていますが、中学時代の面影は変わっていません。仕事は農業、役所務め、土建会社、看護師さんなどなどいろいろでしたが、みんなこの天塩あるいはこの周辺に根を張って生きてきた人たちです。
話が尽きず、みんなで近くのバーに行き、二次会。
再会を期して帰路に着いたのはもう真夜中を回った頃でした。
翌日天塩から稚内に向かう途中、幌延に住む同級生の三浦さん宅に立ち寄らせてもらいました。
家の周りは広い畑。いろいろな野菜やお花を栽培しています。
三浦さんは高校卒業後上京。学業よりもサックスに熱中。サンフランシスコなどでも演奏活動をしたことがあるとか。その後故郷に帰って幌延の町役場に勤務。今は引退して某政党支部の事務局長さんです。
幌延のトナカイ牧場。
その昔三浦さんはここの支配人をしていたこともあるそうです。案内してくれました。
立派なツノです。
ツノはないけど雄です。これから伸びてくるんだそうです。
ちょうど毛の生え変わりの時期で、見た目が悪い。
エサをもらおうと近寄ってきます。
トナカイ牧場のお花畑に青いポピーが咲いていました。
「ヒマラヤの秘境からホロノベに舞い降りた幻の青いケシ」
この花、ヒマラヤの高山地帯で生育する美しい花ですが、日本では環境条件の違いから生育途中で枯死してしまうことが多く、栽培が困難の由。
幌延から稚内へ。
途中抜海に寄りました。
宗谷本線の抜海駅です。
抜海岩と抜海神社。
バッカイというのは、アイヌ語で、「子負い岩」という意味の言葉だそうです。
その昔、天塩アイヌと宗谷アイヌの戦いがあった。天塩アイヌ側に礼文アイヌが加勢。この土地に住むアイヌの女性が礼文アイヌの若者と恋に陥り結婚して子供ができる。しかしあるとき夫は礼文島に帰ったまま戻ってこない。妻は来る日も来る日も子供を背負って礼文島の方角を見ているうちに、子供と一緒に岩になってしまった、という伝説の岩です。
でも天塩アイヌと宗谷アイヌが戦ったのはいつ頃か?なぜ戦ったのか?
天塩アイヌと宗谷アイヌはどのような勢力関係にあったのか?礼文アイヌはなぜ天塩アイヌに味方したのか。そもそも戦いの結果はどうだったのか?
旭川の博物館にも行っていろいろ調べてみましたがよくわかりません。
鮭を干す女性@旭川博物館
抜海海岸から見える利尻富士。
この日礼文島は見えませんでした。
稚内から一路羽田へ。
道北の味覚
トナカイ牧場でトナカイの肉は置いてなかったので、地元産の合鴨のハムと鴨肉を買いました。
帰った翌日、鴨肉を使って鴨鍋をいただきました。美味。鍋の写真がなくてお見せできないのが残念です。
稚内のお魚市場で手に入れたイクラ、サケ、カニ。
同じく甘エビ。
同じくホタテ。
カルパッチョにしていただきました。
カニ豆腐。
がごめ昆布入り。がごめ昆布はガンに効くそうです。
イラスト:しらさぎさやか
料理:しらさぎさちこ
写真・文:しらさぎ二郎
ご訪問ありがとうございました。