最近読んだ本です.

(C) 文藝春秋

 

帯にはセンセーショナルな言葉が躍っていますが,これは 書店の店頭で注目を惹くために出版社がつけたものでしょう.内容はいたって冷静に 中国の不動産バブルを日本のそれと比較しています.

「宇宙一の不動産会社」と豪語していた大手の不動産デベロッパー 恒大集団(Evergrande)や,財務状態は健全と思われていた碧桂園(Country Garden)などが相次いで破綻し,中国不動産バブルの破綻に伴う負債規模は日本のバブルの10倍以上とも言われています.

しかし,日中のバブルでもっとも異なるのは,単に規模の大小ではなく,破綻後の収拾の困難度合です. 日本の場合は,国民感情を気にして 破綻した金融機関に公金をつぎ込むことをためらったばかりに,かえってデフレを長引かせてしまったのですが,中国はそもそも破綻処理について明確な法整備がされていないことが問題と指摘しています.

中国政府の公式発表統計以外の情報源を持たない日本の報道では,今後の中国経済について やたら楽観論か,あるいは逆に極端な恐怖論しかありませんが,中国の金融関係者に広く知己を持つ著者の分析は熟読に値します.

 

中国のバブルが崩壊すれば,対岸の火事などと笑っていられません. 中国政府がとった『ゼロコロナ』政策により中国国内のヒトとモノの動きが遮断された時には,日本の100均では 欠品が多発しました.現地の工場に在庫は山積みでも出荷できなかったからです.

著者は『チャイナ・リスクに備えよ』と警鐘を鳴らしています.