某国営放送は,なんでもかんでもニュースの冒頭に『地球温暖化の影響で~』を つける傾向があります.

「地球温暖化の影響で 年々大規模災害の発生が多くなっています」
「地球温暖化の影響で 北極クマの生息が困難になっています」


あたりはまだしも(ただし,どちらも間違いです),そのうち

「地球温暖化の影響で 高齢者の逆走が増えています」
「地球温暖化の影響でしょうか,少年犯罪が増加傾向にあります」


などと言い出すのではないでしょうか.よほど地球温暖化を印象付けたいのでしょう.

ところで,実家整理から戻ってみると,芝生がかなり伸びていたので 5/3に芝刈りを行いました. 伸びすぎた芝生は芝刈りによってかえって枯れやすくなるので,ある程度芝が伸びたら必ず芝刈りをせねばなりません.

(C) 芝生のお手入れ&ガーデニング

 

上の断面図で,緑の芝が生い茂っている「草部」の下には,『軸部』があり,地表はさらにその下です. この軸部の密度が高くなって体重を支えられるほど丈夫になると「じゅうたんのようにフカフカの芝生」となるのです. ですが,軸部まで刈り取ってしまうと 光合成で栄養を作る「草部」がなくなるので,その部分の芝生は弱ります.なので,芝刈りとは基本的には緑の「草部」だけを常に刈り取ることです. 草部が伸びすぎると,その根元にある「生長点」まで上に上がってしまって,軸刈りをするしかなくなるからです.

というわけで 5月3日に 今年最初の芝刈りを行いました. しかし,

 

ん? 5月3日?

 

ここ数年,この「今年最初の芝刈りの日」がどんどん早くなっているような気がしたので,記録を調べてみたらこうでした.

 

たしかに年を追うごとに,だんだん「その年 最初の芝刈り日」が 早くなっています.今年は7年前よりも 最初の芝刈り日が2ヶ月近くも早くなりました.

 

早速 某国営放送に連絡して,

 

「地球温暖化の影響で 毎年 芝刈り時期が早くなっています」

 

というニュースにしてもらおうかとも思ったのですが.芝生の状態を観察して,それは違うなと思いました.

青い芝生をかき分けてみると,その下には『軸部』がビッシリと詰まっていたのです.

 

 

この「軸部」+「草部」を含めた 芝生の総厚み 「草高」が 思っていたよりも相当厚くなっていました.

ここ数年 芝生育成のために,毎年3~4月には,芝生のスパイキングを行い,さらに全体に『芝生の目土』を薄く撒いてきました.

 

(C) あかぎ園芸

 

この努力の甲斐あって,今や芝生の草高(=地表から芝の最上部までの高さ)は9~10cmにもなっていたのです.この草高は7年前に測定した時には5cm以下でした.薄い芝生だったのです. それから7年で2倍の厚みになりました. つまりそれだけ芝生が元気になってきたのです.

 

芝生が元気になってきたので,年々 芝生の発芽も早くなってきた,だから最初の芝刈り日も早くなった

 

と,ただそれだけの理由です. 決して地球温暖化の影響ではありませんでした. だいたい わずか数年で こんなに急に我が家の地域が温暖化するわけはないですからね.

【地球温暖化の影響で ~~になっています】というニュースには騙されないようにしましょう. 本当にその現象の原因は 地球温暖化だけなのか,それとも他の交絡因子(=この例では 『芝生の生育状況の影響』)もからんでいるのかを検証していない例がほとんどだからです.