この報告では,

 

Larsen 1997

 

試験対象者の全員ではありませんが,4名の被験者には 次のような追試験を行っています.

この試験では,朝食として 体重当たり標準化されたカロリー(=6.9 kcal/kg)を設定していました.つまり各自の体重に応じたカロリーにしたわけでです. 体重86Kgの人なら 596kcalということになります.この食事のカロリー比率は  P/F/C=14/30/56でした.

そして追試験では,各自の代謝データから,運動中に消費したカロリーが推定されたので,その消費分だけ朝食のカロリーを減らした実験も行っています. 平均値では この時の朝食は4.4 kcal/kgとなりました.体重 86Kgの人なら 380kcalですから,かなり情けない朝食です.カロリーの差し引きにあたり,運動によって消費された炭水化物・脂質の推定消費量に相当する分を減らしています.この朝食を食べた後,運動はせずに これまでと同じ測定をしたものが下記の結果です.

 




 

血糖値は朝食の低カロリーを反映して 最初からあまり上がりませんでした.したがってインスリンもあまり分泌されずに,結果として血糖値・インスリン・C-ペプチドは どれも穏やかに推移しています.

ただし,その反動でしょうか,昼食直前の血糖値は大きく低下し,昼食による血糖値上昇が大きくなっています.インスリンやC-ペプチドも昼食後に激しく上昇しています.
つまり血糖値・インスリンの変動という観点では,むしろ昼食で大きくなりました.

この結果を血糖値・インスリン・C-ペプチドの曲線下面積(AUC)でまとめたものが以下の通りです.グラフの縦棒が長いほど,曲線の面積が大きかったことを意味します.



この結果を見ると,

 

食後の運動は無駄ではないことがわかります.

 

血糖値とインスリンとを共に低く抑えるには やはり運動した方がいいからです.

 

運動に代えて食事のカロリーを減らした場合には,朝食後だけを見れば 更にインスリンは低下しており,リバウンドもありませんが, そのツケは昼食後の反動として現れています.

たしかに運動後の血糖値リバウンドは不愉快なので,運動強度と継続時間とを最適化してなるべくリバウンドが起こりにくい 『私だけの運動法』を探すのが良さそうですね.

【完】