~を食べれば ガンにならない
いまだに これを見かけます.
ガンになる要因,つまり発ガン物質であれば,その発ガンの度合いは様々ですが エビデンスはあります.
しかし,その否定形,つまり 『~を食べれば ガンにならない』はエビンデスはないのです.
こう書くと,たちまち『~の一人当たり消費量が 多いXX県では ガンの発生率がもっとも低いではないか』と 主張する人が ご丁寧にメッセージなどで教えてくれるのですが,しかし それは相関関係です. 相関関係は因果関係を証明するものではありません.
この記事[本館]にも書きましたように;
ゴルフがうまい人の家の応接室には,これでもかというほど コンペで優勝したトロフィーが飾ってあります.
すなわち応接室の『トロフィーの数』と『ゴルフの腕前』には相関関係があります.
では,ぞるばが ありったけの金をはたいて トロフィーを買い集め,自宅に飾れば その日から 私のゴルフの腕前は上がるでしょうか?
もちろんそうはなりませんね.
『~を食べればガンにならない』はそれと同じでしょう.
相関関係だけでは因果関係を証明できないのです.
これは糖尿病の食事療法についても言えます.
食事療法には,それが カロリー制限食だろうが,糖質制限食だろうが,ヴィーガン食だろうが,どれであれエビデンスはありません.あるのは 観察研究による相関性だけなのです.
さらに食事療法の場合は『本人申告の食事内容記録はあてにならない』という因子まで付け加わるので,観察研究の信頼性が もう一段 劣ります.
参加してみればわかりますが,日本糖尿病学会の役員・評議員の方々は 実に 優秀な方々ばかりです.その優秀な先生方が何年もかけて侃侃諤諤の議論をしたあげく,この記事[本館]の通り;
『食事療法にエビデンスはない』
と認めざるを得なかったのですから.