と言っても 思想・信条は自由ですから,特定の政党や候補への支持又は反対を呼び掛けるつもりはありません. 皆様どうぞご自由に.
私が注目しているのはマスコミの予測,とりわけ『今回は出口調査がどれくらい当たるのか』です.
ご存じの通り,前回衆議院選挙(2021年10月31日)では,マスコミの結果予測はことごとく外れました. 投票日事前の予測報道だけでなく,出口調査に基づく当日の予想すら 外したのです.従来であれば,投票締め切りの午後8時になった瞬間,まだ開票が始まってもいないのに,各社は出口調査データを基にして,一斉に大勢予測を発表し,それはほぼ当たっていました.前回衆院選までは. しかし前回は この予想すら外れ,しかも実際の結果とはほとんど正反対とも言える,鮮やかな大外れを見せてくれました.
一社だけならともかく,NHKをはじめとして,すべての報道各社の出口調査結果は実際とは正反対でした.どうしてそうなったのでしょうか?
出口調査とは
投票所の出口付近に調査員を配置しておいて,投票を終えた人に『宜しければ,あなたが投票した政党・候補者名を教えてください』と声をかけて,聞きだすものです. もちろんすべての投票所でこれをやるのではなく,選挙区ごとにランダムに選んだ投票所で行います. 声をかけても断る人もいるでしょうから,正確には『自分の投票結果を他人に喋ってもいいと思った人』だけの集計結果です.
なぜ外れたのか
この理由については,選挙直後に 報道各社,そして評論家などが詳細に検討しました. しかし,明確な結論は出ていません. 出口調査による予測は『前々回までは そこそこ当たっていたのに,前回だけ 突然外れた』ことを説明できなかったからです.
それでも強いてあげるとすると;
・出口調査は 時刻に偏りがある
集計の都合上,投票締め切りの午後8時ギリギリまで出口調査を行うわけにはいきません. 午前中しか行わないというところもあります. どんなに頑張っても午後3時くらいまでが限界でしょう.ところが選挙投票というものは,だいたい出足は悪いもので,午前中に投票する人は,当日の投票者全員のごく一部です. そして,年代別に見ても朝イチで投票する人には高齢者が多く,投票締め切り時刻に近づくにつれて若くなっていきます.つまり出口調査では そもそも調査対象に偏りがあるのです.
・期日前投票が多くなった
期日前投票は 以前は『不在者投票』と呼ばれていたものです[*]. その時代には投票日に投票できない妥当な理由がなければ認められませんでした. 投票も記入済の投票用紙を二重封筒に入れて封印するという,ひどく面倒なものでした.
しかし,現在の期日前では 当日フラリと期日前投票所に行って,その場で(どれでもいいから)投票日に投票できない理由に丸印をつけるだけで構いません.投票手順も投票日当日と同じです.したがって,期日前投票率は年々高くなっており,前回衆議院選挙では有権者の 19.49%でした. 全投票率が55.93%でしたから,出口調査が仮に正確だったとしても,全投票の65%しかカバーできていないことになります.
[*]現在でも「不在者投票」は制度としては残っているようです.
などが主なところでしょうか.
ただ私はもう一つ出口調査が外れた要因を考えています.
出口調査の精度が落ちた
私も出口調査に協力を求められたことがあります. だいたい投票所に着いた瞬間に『あ,今日は出口調査員がいるな』とわかります. 怪しまれないようにきちんとした身なりをして,『〇〇テレビのものです』と証明するIDカードなどを首から下げていたり,腕章をしています. そして 記録のための調査票ボードを持っています. つまり『ここに出口調査員がいますよ』と丸わかりなのです.
ですから,そもそも投票を終えたら出口調査員を避けていく人も結構見かけます.つまり『答えたくない人』は逃げていくのです. また調査員の方もランダムに回答依頼しているのではなく,明らかに『答えてくれそうな人』を選別しています.おそらくマニュアルには『年齢・性別で偏らないように』とでもあるはずですが,それよりは『あなたの投票結果を教えてください』などと声をかけたら怒り出しそうな人は避けるのが当然でしょう.
そして,私自身が出口調査に応じた時には『嘘を答えました』.しかも絶対に投票したくない,可能なら『落選に1票』という候補者名と政党名を答えました.正直に応えねばならないという法律はありませんからね. 出口調査で 誰がどう答えようと,それで結果が変わるわけでもありません.ぞるばのようなひねくれものが日本にどれくらいいるのかは不明ですが,マスコミに対するシンパシー・信頼感が薄れてきているということも『出口調査が当たらなくなった』一因ではないでしょうか.
今回の見どころ
前回 衆議院選予測のド外れは 報道各社にとってはショックでした. 開票が進むにつれて,選挙特番の冒頭に意気揚々と発表したことが みるみる覆されていくという大恥をかきました. したがって,今回は調査手法を改善し,データの解釈についても 必死に取り組んだはずです.
さて今回は報道各社の予想はどれくらい当たるでしょうか.