『お茶の間医学』とは 私の造語です. 似たような題名の書物・ブログがあるようですが,それらとは まったく無関係です.

新聞・テレビなどで,その番組名 又は見出しに『健康』『病気』という単語はよく使われています.テレビ番組の場合は 視聴率も高いようです.そういう番組・記事を『お茶の間医学』と呼んでおります.

そこでは 学会でも よくお見かけする 高名な大学の先生が(なぜか必ず白衣を着て),

お茶の間向けにわかりやすく

解説してくれるものです.

さすがに聴診器こそ首にかけていませんが,あの白衣は テレビ局が用意したものなのでしょうね.

(C) クッキーズ さん

 


しかしいつもそれらに接すると,妙な違和感を感じます.
限られた時間・紙面という制約があることは理解できますが,医学情報をそこまで単純化して広めてしまっていいものなのか,という思いです.

特に 『臨床試験で これこれのことが証明された』という解説は,その結論だけを あたかも普遍的な事実であるかのように視聴者・読者に植え付けてしまうわけで,場合によっては危険ではないかと危惧します.

つい最近も

『糖尿病の薬が心臓や腎臓の病気を予防・改善することが証明された』

などという『お茶の間医学』解説がありました.
SGLT2阻害薬について行われた臨床試験の結果を 30文字に要約せよ,と言われたら たしかにこうなるでしょう.
しかし,それだけでは 『ただし,これこれの条件下では』という重要な情報がすっぽり抜け落ちています.

最近 後藤 匡啓先生(東大/医)のこの著書を購入しましたが,


(C)羊土社

 

この書を手引きとして,『お茶の間医学』の長・短所を考えてみます.

[2]に続く