住吉大社の御田植え神事、行ってみた【梅雨終わった?】 | 週刊じんぎかん〜神祇伯の神社放浪記〜

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ただの神社好きが参拝した神社の感想なんかを感情の赴くままに書いてます。あと長文です。
一応毎週日曜に更新しますがたまに長らく投稿しない時があります。なので「あ、更新してるわ見てやるか」な軽ーい気分で読んでください。
どうぞよろしくお願いします。

こんにちは、私だす。


暑い日が続いております。梅雨も明けてないのに。


みなさん熱中症にかかってないでしょうか。


ネットでよく見ますが、エアコンつけっぱなしで電気代が高くなるのと、


熱中症で担ぎ込まれた入院費を比較するなら圧倒的に電気代が安いので、


皆さん自己防衛のためにエアコンはつけましょう。


これはとても大事なことです。


といいつつそんな炎天下の中で観てきた神事を今回はご紹介させていただきます。


それではどうぞ!!!!



  ​住吉大社 御田植え神事

今回は大阪市にある住吉大社で行われた、


6月の御田植え神事を観に行ってきました。


この神事が6/14なので、


前々回に投稿した波自加彌神社はじかみ大祭の1日前になります。


大阪から1日後には金沢です。


距離的には実はそんなに大したことはないのですが、


割とハードスケジュールでした…アセアセ


だって仕方ないよね。仕事の休みが取れちゃったんだもの。


住吉大社自体の感想回はけっこう前に書いてたので、


下矢印気になる方はそちらをチェック!!


住吉大社の神田は社殿から見ると南側、


駐車場の道の向かいにありました。


一度行ったことがあるのに全然場所に覚えがないなぁと思ったら、


普通にありました。しかもめちゃくちゃ広い。


神田は住吉大社御鎮座の際に神功皇后さまが御供田として定められたと伝わり、


その際の伝説を準えた形で神事を行います。



神事の開始が13時となっており、


到着時点で5分前くらいでしたが、上の通り神田での神事が始まってませんでしたので、


おそらく本殿での神事中だろうと考え社殿へ。


いやぁいつ見てもここの同サイズの社殿が3棟縦に並び、


1棟だけは横並びになっているのは特殊ですよね。



第一殿に行くと案の定供奉の方々が参列しており、


祭事が行われていました。


やはり祭典自体は一番奥の第一殿でやるんですね。



境内には供奉の方々が神田まで参進するための通路が作られていました。



反対側にはより近くで見るため参拝者がたくさん。


けっこう外国人もいましたね。


これめあてにわざわざ来たのなら…なかなかに見込みがありますね。


大半は偶然でしょうけど。




しばらくすると神主が神前に供えられていたであろう早苗を持ってきて、


参列者の中から出てきた緑色の装束の女性方に渡し始めました。


この方々は「植女(うえめ)」と呼ばれており、


伝承では神功皇后さまが神田を使ったあと、長門から呼び寄せたとあります。


で、まぁ他の御田植えでも神前に供えていた早苗を授ける所作?儀礼?はありますが、


渡す植女の人数が多い!!


8人くらいに早苗渡してましたよ…たしかに神田広いとはいえ…


そのあとには武者行列の総大将による舞の奉納があって神殿の祭事は終了。


並んでいる芸能奉納者の皆さんが移動を始めます。






楽人を初めに舞人が次々と飄々と踊りながら進んだり、




先ほどの武者たちが総大将を先頭に進みます。


役によっては法螺貝を吹き鳴らし続けながら歩くこたちも。



その後ろは紅白の足軽のような軽そうな武士たちが続きます。


その後に植女たち。選ばれた子たちのお母さん方らしき人たちがついてます。






ぞろぞろと色々な服装の奉納者が並んで神田に入場して行き、2周ほど回るとそれぞれの出番まだ待機します。


この時点で芸能奉納者などの神田に関わる人たちは300人を超えるそうです。


1度の祭事でこれだけの芸能奉納を行うことは他に類を見ないため、


当社の御田植えは4月第一土日に行う香取神宮と、


6/24の伊雜宮の御田植えと合わせて、


日本三大御田植と呼ばれています。


各人が配置についたあと、まず神職による神田の四方のお祓いを行います。



そして神前に供えられていた御神水を神田へ注ぎ入れます。



次に植女から替植女と呼ばれる諸役の方々に早苗が譲渡されます。


植女たちは直接田んぼには入らず、この替植女たちがその代わりに降り立ち、作業を行います。

その時に神田の周りに待機していた白丁?姿の方たちが田んぼに降りていき、


替植女たちから一部預かったりして田植えを始めていきます。


この方々は御田講と呼ばれる集団の方々で、


おそらくその名前からこちらの田植えを専任として担当される方々です。


大きい神社における御田植えにはこういった専門の方々がいる神社はいくつかあり、


京都の伏見稲荷大社にも三島初穂講という方々がいますね。


そして中央の舞殿では神職による楽と歌、


神楽女たちによる「八乙女舞」が奉納されます。


住吉大社には28の神楽舞(!?)が伝わっており、


八乙女舞はこの御田植神事の時にだけ奏でられるそうです。




真ん中の赤い幕の巻かれた傘を中心に神楽女さんたちがクルクル回りながら舞うのですが、


舞にしては珍しく両手には扇や鈴などを一切持ちません。



そんな中でも黙々と田植えを続けていく替植女さんたち気づき




こちらは雨乞いの舞。途中で舞人が早着替えを行うのが特徴です。


次には先程の武者の総大将カブトが出てきて本殿と同じく舞を奉納します拍手


総大将の舞が終わったあと、その他の武者たちも集合し成立します。


法螺貝持ちの武士たちが法螺貝を吹き始めると…




行列にいた赤白の足軽たちが神田の対角線上の両端から威勢良く走ってきて、


一度半周しますカブト


そのあとに中央の薙刀を持った武者を先頭に、


持ってる棒を前同じリズムで振り下ろしながら前進します。


そして全員の行列が終わったあと、赤白の足軽たちがそれぞれコンビを組み、


手元の棒を打ち鳴らし始めます。





この棒打ち合戦は一番上は中学生、下は下手したら幼稚園と思われる小さな子が参加しており、


棒打ち、振り回しなどの参進においても周りの観覧席から「頑張れー!」の声がたくさん!


参加している子供達の父兄の方々もいらっしゃったでしょうが、


そうではない一般の人たちも同じように応援の声をかけており、


なんだか運動会を観ているような気分でほっこりしました照れ


そしてこの住吉大社の御田植え神事自体が国の重要無形民俗文化財に指定されているため、


行事継承の目的で、子どもたちは各学校に早退届を出して参加しているそうです。


なんとうらやま…素晴らしいことでしょう!!!


学生時代に祭りごとで休みがもらえるなら私は喜んで祭りに参加していたことでしょう。


ちなみにこの頃に田植えの方々は小休止。


めっちゃ日差し強かったですから水に使ってるとはいえ暑かったでしょうね…ガーン

御田植えが再開されたのと同時に、次の舞が奉納されます。


今度は先程の替植女とよく似た格好をした方々が出てきて田植踊りを奉納します。


御田植え神事は田んぼの信仰を中心とした神道では割とよく見られる祭りであり、


全国でそれぞれの地域の特色を持った形で残されています。


基本的にはその2種類に分かれており、


正月後〜4月の間に田植えや収穫を模した形で予祝行事の側面を持ったもの、


そして苦しい田植えの作業を楽しく行うために歌舞などを起源とした田遊びの側面を持ったもの、があります。


こちらは田植え当日に行うのでどちらかというと後者であり、


この中央で舞う早乙女さんの編笠などの服装は他の田植え祭でもよく見られるものに近いですね。



最後には白衣に黒い脚絆、特徴的な平たい笠をかぶった「住吉踊り」です。


始まりは神功皇后さまが堺の浜に上陸された際に、


村人たちが祝福と歓迎のために踊った舞であるとされています。


その後住吉大社つきの神宮寺の僧侶や願人坊主たちに継承され、


天下泰平・五穀豊穣」を祈って全国行脚を行って舞を広めていったとされます。


その裏付けに、舞を学ぶ方々の中にはその基盤として住吉踊りを教わった方もいるようです。



舞人はほぼ全員女性で構成されており、


中央で先導を行う先生役の歌に合わせて、田んぼの周りを団扇を持ってぐるぐる回りますうずまき


片手の団扇を前左右後ろと打ちながらぴょんぴょん跳ねて前進するというシンプルな形ですが、


リズム感がけっこう試されるのではないかと思います電球



これにて終了!!!!!!


13時に始めて終了の典儀が流れた時点で15:40ごろで、


実に2時間半に及ぶ大神事でしたうずまき


ちなみに今回の観覧席を購入した際の俗に言う来場特典がこちら。



こちらは「綿の花」と呼ばれるもので、赤黄緑の色紙を折ったものを


太い金属の棒に針金でぶら下げた(下がってないが)形です。


これがなにかというと雷除けの御神徳があるそうで、



このように植女さんたちの編笠にたくさんついていました。


雷は落ちれば土壌を良くしますからむしろ落ちてもらって問題ないのですが、


人に落ちては溜まったものではありません。


そういった目的で取り付けられているのかもしれませんね。


ただ構成材料が金属なのでどっちかというと避雷針…ガーン


最後に第一〜四殿を全てお参りし、御田植神事の御朱印がありましたので、


記念として戴きましたお願い


現在全国一宮巡り(2周目)を行っており、


2周目ならなるべくこういった各神社の祭りに合わせてお参りしようと考えていたので、


今回はそのコンセプトにぴったりでしたハート

​あ と が き 

ということで住吉大社の御田植え神事いかがだったでしょうか。


やはり驚くのはその規模ですよね。


御田植え自体は全国で行われていますし、田植えとそれに付随した御田舞で構成されていますが、


奉納行事の量が明らかに、段違いに多いですガーン


今回の行事に関わる奉納芸能の保存会は


御田講雨乞いの舞風流武者行事田植踊り住吉踊り、とこの段階で5つの保存会が存在しており、


それぞれが途絶えることのないよう継承しています。


明治維新後に一度廃絶の危機がありましたが回避し、

直近のコロナ禍でも神事の縮小がなされて斎行されていましたが、

こうしてほぼ通例通りに行われているというのは大変喜ばしいことでありましょう笑い


そしてここでとても重要なのが、こうして学生の頃に参加していた子供たちがこれから大人になり、


神事を支えていく側になるとき、一番大事なのは幼少期の経験であると考えています。


その時に何を考えていたのか、次の子達にはどうしていくべきなのかは当事者でないと分かりません。


伝統の継承のため、これからも頑張って欲しいと感じますね拍手拍手拍手


さて、そういったところで今回は筆を置きたいと思います。


今年は御田植えばっかり行く、行く予定なのであといくつか紹介することになるかもしれませんのでお楽しみに。


それではまた次回!!バイバイバイバイ


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