こんにちは
今日は低アルブミン血症について記事にさせていただきます。
血液中の大切な栄養というと、真っ先に思い浮かぶのがグルコース。
つまりは血糖かなと思います。
お腹すくとすこしふらっとしたりすることもありますからね。
でも、口から入れる三大栄養素は炭水化物・脂質・タンパク質からなっています。
もちろん各々の細胞が必要な栄養もこの3つですね。(他にもビタミンや元素などありますが)
アルブミンというのは、血液中の大切なたんぱく質のうちの一つで、肝臓で作られて、血液にのって体を巡ります。
栄養素として届けられるだけではなく、カルシウムなどの微量元素や薬物の吸着・運搬なども担っています。
また、血液の浸透圧を作り、血液事態が血管内にとどまるために作用しています。
逆説的に、血中のアルブミンが低下してしまうという事は
元素や薬物の輸送が不安定になり
栄養としてのたんぱく質が各臓器に十分にデリバリーされず
血液が血管外に漏れ出て胸水・腹水・浮腫
が起きる可能性があるという事です。
この浮腫というのは曲者で、手足がむくむとかは良いのですが、臓器が浮腫を起こすとそれはそれは大変です。
さて、怖い怖い低アルブミン血症ですが、良く起きる原因は
重度な外傷
結構な出血
消化管疾患
腎疾患
肝疾患
等で引き起こされます。
(他にもありますが、まず考えるのはこれらですね。)
低アルブミン血症の診断はそう難しくないです。
血液検査を行っている病院であって、検査項目にアルブミンがあれば、それが低下しているかどうかというだけです。
診断をされてから、低くなっている原因を特定するまでが肝心です。
まず最初の
結構な出血
と
重度な外傷
は外見上、あるいはレントゲンなどの割と初歩的な検査で有無が明らかになります。
外傷は見ればわかりますよね。
外傷があると傷口から浸出液として蛋白が出てしまうため、低くなることがあります。
出血は体外に出血している場合は、外相と同様見ればわかります。
体内の場合であっても、低アルブミン血症になるほどの出血は胸腔・腹腔・皮下などを調べればわかります。
その他血尿や黒色便、鮮血便、吐血の有無も大切ですね。
ここまではかなり早期に鑑別できることが多いです。
そこから先はいくつかの検査を複合して決定していきます。
肝臓は血液検査と画像診断
腎臓は血液検査と画像診断、尿検査
によってほぼ確定させることができます。
問題は消化管疾患です。
これらは血液検査や画像診断によってある程度疑いをつけられるのですが、そこから先が問題です。
消化器疾患であり、さらに病名を決定するためには内視鏡検査と組織生検が必要になります。
良くうっかり診断名として出回っている
IBD(炎症性腸疾患)
PLI(蛋白漏出性腸症)
消化管型リンパ腫
は、どれも低アルブミン血症を引き起こす疾患という事が知られていますが、これらの診断は細胞もしくは組織生検が必要となります。
超音波検査などで「これはIBDですね。」とかは言えません。
なんでここまでしなくてはいけないのかと言えば、やはりリンパ腫という悪性腫瘍が混ざっているためだと考えています。
他の疾患と比べて、確定が取れないと抗がん剤治療が行えませんし、他の疾患に対するような治療を行っても悪性腫瘍であるため治癒していく事は無いからです。
低アルブミン血症は、怖いし、怖い病気の可能性が低くないという事を覚えておいていただければと思います。
※「ペット医療」の情報について※
この情報では病気や症状をピックアップして、一般的な診断法や症状、オーソドックスな治療法について記載していきます。
獣医療は人間の健康保険のように公的保険制度がありませんので、一つの病気に対して各病院で使う薬剤、薬剤量及び治療法の選択基準(即手術をする医院もあれば、内科で病気を散らすことを第一目的として行うなど)が異なります。
そのため、当院で一般的に行われる診断や治療が、現在あなたのかかっている動物病院と異なる可能性はあります。
その場合、ここでの情報をお読みになった時に、
「インターネットで書いてあることと違うことをされた!」
もしくは
「私のわんちゃんが受けた治療とは違うことがここに書いてある!」
と問題として取り上げるのではなく、参考として読んでいただければと考えております。
また、記事の内容はあくまで記事を書いた当時の医療情報に基づいていることを留意してお読みいただけると幸いです。
千葉県佐倉市のJAHA認定病院:志津・佐倉しらい動物病院
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