「冬のお腹の風邪」ノロウイルスは嘔気・嘔吐と下痢を主症状とする急性胃腸炎の原因ウイルスのひとつです。ノロウイルスは10月から4月頃までに流行する傾向があります。特に体力の低下した方や、基礎疾患を持つ方、小児においては重症化しやすいです。


原因

ノロウイルスは極少量のウイルスを摂取することで感染が成立します。感染経路は人から感染する場合と食品を介した食中毒があります。


症状

症状は、嘔気・嘔吐、下痢です。ウイルスが体に取り込まれてから半日から2日の潜伏期間を経て、嘔吐が始まりますが多くの場合は数日で治まることが多く、比較的短期間で改善することも特徴です。


感染予防上注意すべき点は、胃腸炎の症状が消失した後も排便中には23週間程度ウイルスが排泄されているということです。そのため、症状が消失してもしばらくの間は、周囲への感染拡大を予防するために、排泄物の処理に注意を払うことが必要です。

小児や高齢者においては、脱水症状が強くなることもあります。


検査・診断

ノロウイルスの急性胃腸炎の診断は、臨床経過や身体診察からされることが多いです。ノロウイルスの診断には便を用いた検査方法があり、遺伝子診断法とイムノクロマトグラフ法があります。後者は、結果が15分程度で判明する迅速な検査であり、外来で活用されます。当院でも迅速検査を採用しています。


治療

治療は有効な抗ウイルス薬は無く脱水をいかに避けるかが重要です。また消化の良い食べ物などで消化管安静が必要です。


対応

ノロウイルスに感染してはインフルエンザ感染などと違い学校や会社を休む法的規則はありません(学校保健安全法、労働安全衛生法)。しかし、食事を扱う職に従事している場合には、食中毒の側面もあるため職場復帰に関してのタイミングは慎重に判断される必要があります。また学校や学習塾も周囲への感染を配慮した判断をするべきです。



ノロウイルスは感染力が強いことに加えて、アルコール消毒では完全にウイルスを排除することがてきず次亜塩素酸ナトリウムの使用が必要と言われています。しかし日常生活においては石鹸で手洗いをしアルコール手指消毒をお勧めします(アルコールでの消毒効果もあります)。