ラッセン展に行って来た! | 美術作家 白濱雅也の関心事 

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Cashiのラッセン展を見逃していたので、代わりにはならないけど、せめて純正ラッセン展を見ようと思っていたら、丁度やっていた。というか日本では年二回巡回でやってそうなペース。
新宿は会期逃したので横浜へ。会場は横浜そごうの上層階の新都市ホール。場所の選びもきっちりしているね。
ちょっとだけどきどき。だってローン組まされたらどうしようとかよぎりません?
先入観て怖いね。

会場には受付がある。情報の入手先、年代、職業、絵を飾っているか、ラッセンを買ったことがあるかなど記入、その内容に応じたシールを胸に貼る。個人情報までの記載はない。
顧客層をチェックという意味ではきっちりしている。

入り口にはラッセンのプロフィールが紹介されている。大きな写真や愛用の楽器、経歴、メッセージなど。1983年:国際連合「クリーンオーシャンキャンペーン」のイメージアート、1989年:ホノルルマラソン公式ポスター制作を担当など、イラストレーターとしての社会的な経歴は十分にあって、普通に言えば、わあ凄い人!となるだろう。悪徳のイメージがなくとも十分にイラストレーターとしては成功しているのだ。
メッセージはありがちな芸術家らしい創造の素晴しさとともに環境への配慮を忘れない。

ぎゅうぎゅう詰めではないが結構な混雑。絵の前が空いているところが少ない。会場内は全体に暗めの照明で黒を基調にしている。(他の会場では変わるかもしれない)そこに絵ごとにハロゲンライトの強い照明が当てられる。すると夕景や水中の情景がライトボックスのように鮮やかに浮かび上がる。壁には絵の外されたところがある。??売れたのか?

数作品ごとに解説/販売員が立っている。50~100万円弱の作品に売約の札が複数並ぶ。全体では10-20くらいの売約か。でも今日だけなのか他の会場も含めてなのかはわからない。
会場の中央部には喫茶店のように10卓以上の商談の席が設けられている。そこではにこやかに話が弾んでいる。ここで見る限りはけっして押し売り商法のようにしているわけではない。
その商談の席では壁から作品を外してきて目の前においてスポットライトを当てている。壁の作品がなかったのはそのせいだ。絵も客の目もキラキラしている。
販売員はもちろん、客もにこにこ。買えることが本当に嬉しそう。ここには美術館でよく見かける困った顔をしている人はいない。
楽しそうにどの絵にしようか迷ってうろうろしているカップルもいる。そう、マンションや結婚式の会場や衣装を迷っている時のようでもある。
「今日はラッセン先生がいらっしゃるのでお客さんが多いんです―」と販売員の声が聞こえる。そそうかラッセン先生が来るのか?

隣のステージでは本人の登場を100人ほどが待っている。到着時間が遅れているとのアナウンスで、さらに待ち客は増えていく。待たせている間にチャリティの案内がある。サイン入りの画集である。ここにも列ができる。客は200人ほどになっただろうか。
ここでラッセンの到着。軽く歓声が上がる。
年老いたとはいえブロンドの長身痩躯は健在でタレント然としている。
まあ、通り一遍のあいさつのあと撮影会である。
買った人への特典としてツーショットで撮影できるというもの。
これも買った当人たちは嬉しそう。

待っている間は好きなバンドのライブを待っているような気分だったし、その後はファンの集いそのものである。顧客サービスとしては順当な内容である。しかし、これは現代アート作家はするだろうか?人気作家は似たようなことを形を変えてするだろうけれど。
想像以上に凄い。なぜってブームが去った、終わってるよねといわれてて、この状態である。
私はもう少し閑散と寂れたものを想像していたのだ。もちろんこれからは大変かもしれないが人気、経営としては今の所、勝利だろう。
彼の存在は人気ミュージシャンに近いものである。
観客は女性が多かった。しかし男性も少なからずいた。年齢層は広い。

実際に作品を見て、やはり印刷物だけでは気付かない微妙な差異はあった。また発見もいくつかあった。それについては長くなるので、また分析して書きたい。



ついでにふと立ち寄った階下のそごうの美術コーナーでは、ディズニー系の絵画販売コーナーが設けられていた。お世辞にも展示とはいいがたいパネルをいくつかレイアウトしたような会場である。そこにトーマスキンケードが並んでいた。意識的に見るのは初めてなのでこれは嬉しい。
そこに描かれているのはファンタジックな田園や町並みで、高級ファミレスというかテーマパークというかそういうカラフル感で暖かく明るく幸福感で満たされている。これは魅了されるだろう。
直筆ではなくキャンバス地へのプリントでそこに要所要所タッチのマチエールが盛られる。パッと見は直筆油彩である。
なんと30ー50万クラスのが数点売約済み。
キンケードなんて知名度ゼロですよ、日本では。もちろんプロフィールは添えられてますが。

絵が売れないって誰が言った? 零細現代アートギャラリーではあり得ない売れ方である。

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