今日は情報漏えい発覚から強制捜査までの流れを時系列に追ってみたいと思います。
その前に、昨日のブログで「令状にはメディアの情報がなかったのでは」と書きましたが、もともとそのような情報が書かれてはいないようです。
朝捜索差押許可状とは?弁護士がわかりやすく解説|見本付
令状(捜索差押許可状)には、
「被疑者の氏名」
「罪名」
「捜索すべき場所」
「差し押さえるべき物」
「有効期間」
が書かれているようです。
どこにも職業とかの情報はないです。素人なので、請求する時も必要でないかどうかはわかりませんがこの様子だと不要だという可能性の方が高いです。つまり、裁判所では「メディア」、「報道機関」かどうかはわからなかったと思います。
と、昨日までの補足はここまでにします。
ここらは、鹿児島県警の情報漏えいが発覚してからの流れを追っていきます。
(今回の情報を8月29日のブログの事件の流れに追加、変更しました)
一昨日のNHKラジオ、NHKジャーナルで2024年7月11日の放送でも報道されていますが、
「2023年10月25日、「ハンター」が鹿児島県警の内部文書内部文書「告訴・告発事件処理簿一覧表」をサイトに掲載」
したことで始まるとしています。そして、鹿児島県警がこの捜査情報が漏えいしたのを認めて公表したのが、
「2024年3月12日、鹿児島県警が「告訴・告発事件処理簿一覧表」の流出を認め、発表」
です。この発表の3週間前の2月21日に、ハンターの記者が鹿児島県警本部を訪れて、流出した内部文書を提供しようとしたが拒否された、
「2024年2月21日、「ハンター」の記者が鹿児島県警本部を訪れて、流出した内部文書を提供しようとするが、鹿児島県警本部が拒否」
と、
「2024年2月27日、ハンターのサイトに、鹿児島県警本部が、流出した内部文書の提供を拒否を掲載」
で報道しています(このハンターの記者の行動にも疑問があると考えますが、今回は省きます)。つまり、この時点では「ネットメディアを軽視」して一般へは「情報漏えいの事実を隠蔽」するつもりだったと私は考えています。
では、なぜ、サイトに掲載されてから2週間後の3月12日に内部文書の流出を認めたのでしょうか。
それは、発表から4日後、
「3月16日、「現代ビジネス」がインターネットの記事で、鹿児島県警の捜査資料が流出したと報じる」
と広く報道されることを鹿児島県警がわかったからだと思います。
講談社のインターネット雑誌ですから、「無視」できないと判断したのもうなずけます。記事の内容も、
「プライベートなことまで書かれた捜査資料が外部に流出するなんて信じられません」
と語った鹿児島在住の医師・Aさんは内部文書に事情聴取されたと載っている人物で、二人の警察官が、
「今年1月19日になって「捜査資料が外部に流出している」と謝罪にきた」
と書かれています。
この他にも、政治家への捜査情報が複数あることを報道し、鹿児島県の自民党関係者にインタビューして、
「鹿児島県警が捜査しているなんて情報が少しでも漏れたら大変なことになる。発表以上の流出資料が出ていて、加えて国会議員に市長クラスとなると鹿児島政界は大混乱だ。」
というコメントも取っています。
そして、最後に
「Aさんは「鹿児島県警はきちんと記者会見をして、個人情報が流出していることを謝り、説明責任を果たすべきだ」と語る」
で結んでいます。
結局、「現代ビジネス」が掲載した3月16日の直前12日に鹿児島県警が公表していたことになるのですが。しかし、「現代ビジネス」も裏を取って掲載するでしょうし、掲載内容からインタビューした形跡がうかがわれます。そして、「県警は情報漏洩が発覚した後、一覧表が印刷できないように設定を変更」しているわけで、「現代ビジネス」へ流出した内部情報もかなり以前から印刷されたものになります。鹿児島県警の発表前から「現代ビジネス」は調査していたに違いありません。この時系列の情報がわかれば謎が解けると思います。一般の我々には無理でしょうが、「現代ビジネス」は可能なのではないでしょうか。
鹿児島県警がそういう情報を掴んで一般へ公表せざるを得なくなったというのが事実に近いと私は考えています。
鹿児島県警の発表も、
「刑事企画課の理事官らが報道陣に概要を説明」
「関係者に謝罪する趣旨の刑事企画課長のコメントを発表」
となっています。「課長」は発表に出席していないんですよ。内部文書の流出にもかかわらずです。かつ、「個人情報の流出」というレベルで処理しようとする意図もあります。
「個人情報保護法に基づき、個人情報保護委員会に報告し、氏名が記載された計12人に対し、昨年末から今年3月にかけて通知」
ですから。まずは「謝罪」でしょう、と思うのは私だけでしょうか。
そして、「現代ビジネス」の掲載記事です。事件が一気に広がります。漏えいした情報が鹿児島県警の発表内容を上回っていたのです。
そのために、漏えいした情報漏えいの範囲の把握が「ハンター」への強制捜索の目的の一つとなったのでしょう。面白いことに「現代ビジネス」への「強制捜索」は行われていないのです。立教大学・砂川浩慶教授が「ネットメディアの軽視」が強制捜索の理由だという一つの証拠ですね。
また、ハンターが受け取った内部情報以外のものが「現代ビジネス」の記事の中にあるので、
と指摘しています。判決の記事によると、大量に漏えいしたのは、
「24年3月11日には同一覧表47枚を郵送」
となっています。「現代ビジネス」が掲載したのが16日ですから、もっと前に流出したことになります。それを考えると、曽於署の巡査長が「現代ビジネス」に漏えいしたのであれば、この罪は判決に含まれていないことになります。それよりは、巡査長以外の人物が漏えいした可能性が十分考えられるということです。
この事件、謎が多いのですよね。一般人は「知らなくてもいい」ということでしょうか。私としては、「不正が正される」ことを望むだけなのですが、今までの経過を考えると「不正の謎が増える」だけです。
今回この事件に浮いて長くなりましたので、今日で一度終了します。関連の事件でもいろいろ謎、疑問だらけなのですが、またどこかで書くことにします。