昨日の東京都知事選挙の結果は、マスコミの予想通り、小池都知事の3回目の当選でした。
都知事選 現職の小池氏が3回目の当選 石丸氏 蓮舫氏らを抑える


広島県安芸高田市の元市長石丸伸二氏が、元参議院議員の蓮舫氏を抑えて2位になったことが話題になって、「次は国政選挙」という話もあるようです。都民が選んだことなので、地方の人間がとやかく言う筋合いではないです。とはいえ、大勝だったということでその理由は気になります。

Yahoo!ニュース、みんかぶの記事を見つけました。

女帝小池「余裕の3選」当選確実に絶望、地獄4年「おかわり」へ…危機感ゼロ!都民はどうして暗愚な首長を選んでしまったのか「知事として10点」「嘘つき」

作家の古谷経衡氏が書いた3ページわたる記事です。少し長いです。
この中で古谷氏は、小池都知事の二期八年の実績は「10点」(どうも100点満点でという意味らしい)というのに、都民は小池都知事を三度なぜ選んだかと言うと、

「東京が依然として、日本において一番豊か」
だから、
「都民に危機感がなく」、
「暗愚な首長にみたび及第点を与え」た

という「極めてシンプル」な理屈だそうです。
「豊か」という例として、戦後半世紀以上、

「東京が県民所得で一位」
であり
「内閣府の2020年度統計によると東京のそれは約530万円」
「最下位の沖縄は約220万円」

だということ。そして、人口を見ると、

「都の総人口は約1,418万人」
「毎年3%~4%程度、人口が増え続けている」(3%増として1年で約40万人増加)
「秋田県の最新人口推計は今年6月時点で90万人」
「東京ではたった2年強で、秋田県丸ごと一県分の人口が吸収」

されていることになるそうです。そういう環境では、「東京に住み」、「東京で働いている」と、

「東京基準」

で「判断」する、「判断」するというか、

「そういう価値観が染みついてくる」

ということになります。その結果、「日本が抱える様々な問題」、

「人口減少」、
「少子高齢化」、
「地方財政のひっ迫」、
「地域経済の衰退」、
「空き家問題」、
「若者の雇用」など

は「無関係」とまではいわないものの、

「他人事」

になると指摘しています。なるほど、この見方は一理ありと私は考えます。

東京都は周りから、日本全国から富を吸収しています。本社が東京なので税金も東京で納めます。その上、例えば地方に工場を建てる場合は完全子会社として設立します。そうすることで、前年以前の利益をゼロにすることで、当該自治体へ税金は納めません。ところが、工場誘致等の名目での地方自治体からの補助金はもらっています。本社だけが儲かるシステムです。こうやって、結局東京都が儲かるわけです。

その上収入に差があることで人が東京へ集中します。東京と沖縄では倍以上の収入差があるわけですから。
そういえば、「3.11」で東日本大震災後の復興事業が東北で盛んになったころ、岩手県(だったと記憶しています)から東京に出稼ぎに来ていた方が、「故郷の復興に協力したいが、手当を考えるとこのまま東京で働くことにする」とおっしゃっていたテレビのインタビューを見て違和感を覚えました。故郷に仕事があるのです。そして故郷で働けば家族と一緒に生活できるわけです。家族と一緒に生活すれば、生活費も東京よりは少なくて済むはずです。そのようなメリットよりも給与、手当の増額分が上回るということなのです。その時なんとなく「矛盾」を感じました。

このように「東京だけが潤う」システムが作られているということです。このように「豊かさ」を享受している都民としてはリスクを負う必要はないということですね。
そういう意味で現職が強くなることは仕方がないです。それが年代別の投票傾向のグラフに現れていると思います。年代が上がるにつれて小池都知事への投票の割合が増えています。蓮舫氏も同じ傾向ですね。都民に影響する大きな変化はないと判断していたということでしょうか。

現状はそうなのでしょうが、将来も「同じ」だとは限りません。東京以外は徐々に弱ってきているわけです。上に列挙した「日本が抱える様々な問題」の影響を受けて。そして、周りの富を吸収している東京都も、周りに富がなくなれば吸収することはできなくなります。そうなる可能性は高いでしょう。
「ゆでガエル理論」のカエルにならないようにしてほしいものです。